弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2021年4月12日

スマホ脳

人間


(霧山昴)
著者 アンデシュ・ハンセン 、 出版 新潮新書

私は依然としてスマホを持たず、ガラケーのみ。それも、常時カバン在中で、1日1回も使えばいいほうです。なので、スマホの使いすぎなんて、自分のことではありません。
孫たちの脳が、スマ時代でおかしくなってしまわないか、それが心配なので、読んでみました。なるほど、それは心配だと思わせる記述のオンパレードです。かといって、孫たちからスマホを取りあげるわけにはいかないでしょう。では、いったいどうしたらよいのでしょうか...。
スティーブ・ジョブズを筆頭に、IT業界のトップは、我が子にスマホを与えていないとのこと。その危険性を熟知しているからですよね。著者はスウェーデン生まれの精神科医です。
人間の脳はデジタル社会に適応していない。
現在、大人は1日に4時間スマホに費やしている。
コロナ禍によって実際に集まる会議が減って、ズーム形式の会議がほとんどになりました。先週、昼から2時間、午後3時からと夕方の5時から各1時間、合計4時間も画面を見ていましたら、帰宅したころには首と肩が異常にコチコチと固まっていて、頭までボーっとしてきました。たまに発言しようと身を乗りだした格好を4時間もしていたのですから、そのひずみ(反動)がないわけはありません。
精神的不調で受診する大人がますます増えている。
決断を下すとき、最後に人間を支配するのは感情。
やはり、好きか嫌いかは、司法の世界でも大きいです。
ストレスのシステムは、私たちが正常に機能するためにも大切だ。うつを引き起こす原因としていちばん多いのは長期のストレスだ。
私たちは1日に2600回以上もスマホを触り、平均して10分に1度、スマホを手にとっている。
スマホが及ぼす最大の影響は、「時間を奪うこと」にある。睡眠を十分にとる時間がなくなることだ。ところが、この睡眠時に、昼間こわれたタンパク質が老廃物として脳から除去される。老廃物は1日に何グラムにもなり、1年間にすると、脳と同じ重さの、「ゴミ」が捨てられることになる。夜、眠っているうちに、短期記憶から長期記憶へ移動してしまう。
つまり、睡眠は記憶の保存に重要な役割を果たしている。ところが、スマホが若者の睡眠不足を招いている。
電子書籍を読んだ人たちは、電子書籍を読むと、メラトニン合成がひどくなる。
ヒトの祖先は、毎日、1万8000歩、あるいていた。今の私たちは、1日5000歩にも満たない。
教室でスマホは禁止。でないと、学習能力が低下する。
記憶力や集中力といった知能がスマホのせいで低下している。毎日、スクリーンの前で4時間も過ごしていると、子どもや若者は遊んだり、「本当の」社会的接触をもったりする暇がなくなる。
スマホを使いすぎると、気が散り、よく眠れなくなり、ストレスを感じる。毎日2時間はスマホをオフにしよう。
スマホの表示はモノクロにすること。色のない画面のほうが、ドーパミンの放出量は少ない。
集中力が必要な作業をするときには、スマホを手元に置かず、隣の部屋に置いておく。
スマホを寝室には置かない。寝る直前に仕事のメールは開かない。
スマホに関する、とても実践的なアドバイスもたくさんある新書です。気をつけましょう、暗い夜道と便利なスマホ。
(2021年3月刊。税込1078円)

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