弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2021年4月 8日

にほんでいきる

社会


(霧山昴)
著者 毎日新聞取材班 、 出版 明石書店

外国から来た子どもたちは日本語が話せないまま、放置されているのではないか...。
在留外国人は過去最高の293万人(2019年12月)。
100の地方自治体に住民登録していた義務教育年齢の6~14歳の外国籍の子ども7万7000人のうち、就学不明(学校に通っているかどうか確認できない)子どもが2割、1万6000人。全国には2万2000人。その多くは、日本に「デカセギ」に来た外国人労働者の子どもだ。
久里浜少年院には、「国際科」がある。日本語のほか、ごみ出しなどのルールや日本の習慣・文化を教える。1993年に設置され、2020年までに300人が学んだ。
全国の1100超の自治体は、学校に通っていない子どもがどんな状況に置かれているか、まったく確認していない。
前川喜平・文科省の元事務次官は、外国籍の子どもの保護者にも就学義務があることを適用すべきだとしている。本当にそうですよね。便利な「人材」として受け入れたのは日本なのですから、その子どもに日本は責任をもつのが当然です。
法令に「外国籍を除外する」という文言はないので、当然のこと。まったくそのとおりです。人間を大切にしない政治はダメです。
子どもに通訳をつけてもダメ。通訳は、あくまで言語サービスであり、日本語教育ではない。うむむ、なーるほど、そうですよね...。
日本国内の学校や教室に通う日本語学習者は26万人。1990年度の4倍超。これに対して日本語教師が4万人のみ、しかも、その大半はボランティアと非常勤。
これはいけません。こんなところにお金を使わないなんて、政治が間違っています。人間を大切にするのが政治の役目です。
2019年に公表された日本語指導調査によると、日本語教育が必要な児童・生徒は5万人超(外国籍4万人超、日本籍1万人超)で、2016年の調査より7千人近く増えた。無支援状態の児童・生徒が1万1千人もいる。
15~19歳の不就学・不就労は、フィリピン16%、ペルー11%、ブラジル11%、ベトナム10%。学校に通っているのは、中国と韓国・朝鮮で8割超。ブラジル63%、フィリピン57%、ベトナム53%。
外国籍の生徒の高校中退率は10%近く、全体の7倍にもなる。
コンビニのレジに外国人が立ち、日本語で応対するのはもう日常の風景です。そんな彼ら彼女らが、どうやって日本語を身につけたのか、あまり考えたことがありませんでした。もっと小さい、小学生のときに日本に来たら、どうするのか、どうしたらよいのか、私たち大人はもっと周囲に目を配る必要があります。そして、そこにきちんとお金と人を手当てすべきだと改めて思ったことでした。
(2021年2月刊。税込1760円)

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