弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2021年4月 1日

政党助成金、まだ続けますか?

社会


(霧山昴)
著者 上脇 博之 、 出版 日本機関紙出版センター

河井議員夫妻が有罪となり、どちらも議員を辞職しました。当然のことですが、問題は買収資金となった1億5千万円が自民党本部から出ていて、しかも、政党交付金という税金が使われていたのではないか、ということです。その点が解明されずに幕引きするのは許されません。
自民党の二階幹事長が「他山の石」と放言しましたが、まさしく「自民党の石」であって、他人事(ひとごと)ではありません。
河井夫妻も1億5000万円が自民党本部からもらったこと、そのうち1億2000万円が政党交付金だったことを認めています。
政党交付金は1994年の「政治改革」の産物です。政治腐敗を防止するため、政党を助成するという名目でしたが、「政治とカネ」のスキャンダルは今に至るも続いていて、まさしく「泥棒に追い銭」状態。
自民党の元議員たち(金子恵美、豊田真由子)は、選挙のとき実弾(現金)が飛びかっている状況を真のあたりにして驚いたと告白しています。自民党の金権腐敗選挙に私たちの税金が勝手放題に使われているというのですから、許せません。
政党交付金は、政党が消滅したとき、残金があれば国庫に返還すべきは当然です。ところが、この本によると、解散寸前に、あちこち勝手に「寄付」してしまって国庫に返還していないというのです。これまた許せません。プンプンプンです...。
橋下徹の「維新の党」は、解党する寸前に9912万円を寄付した。橋下徹は、国庫へ返還すると約束したのを平然と反故(ほご)にしてしまった。ひどい話です。「日本のこころ」(中山恭子)、「希望の党」(松沢成文)も同じでした。
政党交付金は税金を減資としていますから、説明(報告)義務があります。ところが、その内訳の一つ、「人件費」は、いつ、誰に、いくら支払ったという明細を記載しなくてもよいというのです。信じられません。
総額の8千億円をこえる政党交付の7割、6千億円近くは自民党に交付されます。消費税値上げを推進してきた自民党の活動資金の多くを私たち国民の税金が支えているというわけです。いわば自民党は国営政党なのですが、本当に私たち国民のためになる政治をしているとは、私には、とても思えません。コロナ禍の対策にしても、GoToトラベルとかイートとか、アベノマスクに始まって、一部の大企業などが不当にボロもうけして、肝心のPCR検査やワクチン確保は大幅に遅れ、医療・福祉は切り捨てる一方...、ひどい政治をやりたい放題です。
それもこれも、投票率の低さ、政治不信をあおるばかりの一部マスコミの論調に大きな原因があるとしか思えません。みんなで投票所に足を運んで、ダメなもの、嫌なものにはキッパリ「ノー」という意思表示をしないといけません。
改めて、怒りをフツフツとたぎらせてくれる本でした。あなたもぜひ読んでみてください。
(2021年2月刊。税込1320円)

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