弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年2月21日

原発ゼロ、やればできる

社会


(霧山昴)
著者 小泉 純一郎 、 出版  太田出版

あの3.11から8年たちました。原子力発電所が事故を起こしたときの怖さを多くの日本人がすっかり忘れたかのように、原発再稼働がすすんでいて、私は不思議さと恐ろしさの双方を実感しています。
小泉元首相は、自分は騙されていた。原発は安全だと思い込んでいた。でも、それは嘘だった、嘘だと分かったからには原発に反対せざるをえないと主張しています。まったく同感です。
3.11事故のとき、日本は下手すると5000万人もの人々が非難しなければいけないところだった。幸い、そうはならなかったけれど、あのとき、アメリカは、米軍人の家族にアメリカ本国への帰還命令が出ていた。それほど深刻な事態に直面していた。
5000万人というと、日本の全人口の半分に近いものですし、首都東京に人が住めないということです。こんな狭い島国ニッポンのどこに逃げる場所がありますか・・・。
この本には書いてありませんが、「北朝鮮の脅威」を声高に言う人が、原発へのテロ攻撃の危険性に言及しないのが、私には不思議でなりません。
著者の主張はきわめて単純明快です。
総理大臣という責任ある立場でありながら、どうしてあんなウソを信じてしまったのか、じつに悔しいし、腹立たしい。
世界全体で原発の占める割合がどんどん下がっているというのに、日本政府は、世界の動きと反対の方向に進もうとしている。
騙されたことが分かったら、そのまま騙され続けるわけにはいかない。知らないフリをして間違いをそのままにしておくのは、よほど無責任なこと。
3.11は、自然災害ではなく、人災だ。
原発に関する基準が、日本は世界一厳しいということはない。たとえば、日本ではまともな避難計画を用意していない原発がたくさんある。
日本は原発ゼロをすでに経験したが、何も不都合は起きなかった。原発ゼロでも、自然エネルギーで日本は十分やっていける。
私が不思議なのは、自民党・公明党を支持する人たちが原発再稼働を本気で容認しているのだろうか、ということです。いやいや、原発問題とは別のことで自・公を支持しているというのかもしれません。でも、原発って、たくさんある問題点の一つというレベルではなくて、私たちと子々孫々が今後も生存していけるかどうか、という極めて重大なことなのではありませんか。
本分136頁で1500円の本です。ぜひ、あなたも手にとって読んでみてください。
著者がすすめた郵政民営化によってひどい目にあっていますが、原発問題では著者の提唱に異存はありません。原発は私たちの生存そのものがかかっている、きわめて重大な問題だと思います。
(2019年1月刊。1500円+税)

 フランス語検定試験(準一級)の合格証書が届きました。やれやれです。これで2009年以来、8枚目になります。口述試験の成績は23点で、合格基準点23点と同じですので、ギリギリでパスしたわけです。ヒヤヒヤものです。ちなみに合格率は17.4%とのこと。フランス語の力が低下しているのを心配していますが、毎日の勉強のなかで、1分間暗誦できるよう心がけています。もちろん、口に出して言うようにしています。黙読だけではダメなんですよね、語学は・・・。これからもフランス語、がんばります。

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