弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年9月 2日

刑務官が明かす刑務所の危ない話

司法

(霧山昴)
著者 一之瀬 はち 、 出版  竹書房

日本の刑務所の大変な実情がマンガで紹介されています。
刑務所内では年間4万3千件もの事件が発生しているというのには驚きです。
暴行事件2000件、自殺未遂400件、刑務官・受刑者の死傷事件が100件などです。
刑務官の採用試験の状況も紹介されていますが、仕事とはいえ、本当に気苦労の多い、大変な仕事だと思います。目に見えた成果などあろうはずもありませんし、毎日緊張の連続の仕事で神経を病まないようにしてほしいものです。
死刑執行は拘置所の職員の仕事だと思いますが、これも刑務官ですよね。私には、とても出来ません。国家が人殺しをしていいとは思えませんし、罪なき人(ここでは職員のこと)にさせてもいけないと思います。
刑務所の娯楽として映画が上映されるけれどそのなかでも「寅さん」映画は文句なしということです。全シリーズをみた受刑者もいるとのこと。その限りで、うらやましいです。
身元引受代行人とか面会サポート業という仕事があるのを初めて知りました。
福岡刑務所(宇美町)は山の奥深いところにありますが、ヨーロッパでは地元の人々と収容者とが交流できる機会をつくっているそうです。日本でも考えていいように思います。
こういうマンガで刑務所の実際が世間に知られるのも悪くないと思います。
アメリカでは200万人もの囚人がいて刑務所産業が栄えているというのです。悪いことした奴はみんな刑務所に入れておけという間違った世論誘導の結果です。日本はアメリカのようになってはいけません。
(2018年8月刊。1000円+税)

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