弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年7月 4日

2015年安保、総がかり行動

社会

(霧山昴)
著者 高田 健 、 出版  梨の木舎

共謀罪法案の国会審議はひどいものでした。いえ、言い直します。ひど過ぎます。加計学園の問題点が国会という公の場で究明されるのを恐れて、会期延長せずに徹夜国会にして「多数の横暴」で問答無用式に明らかに憲法違反の法律を制定してしまいました。自民党や公明党議員にも個人的には話せば分かってもらえる人もいると思うのですが、首相の言いなり、その手駒として右往左往するだけで、とても良識の府とは言えません。
こんな人たちが道徳教育をすすめ、日本の国を愛せよというのですから、子どもたちの目が白黒するのも当然です。
この本は、2015年夏の総がかり行動を中心によくまとめられています。
弁護士会も、日弁連も全国各地でも本当に一生けん命に取り組み、盛り上がりました。安保法は成立こそしましたし、駆けつけ警護とか米艦警護出動を形ばかりは施行しましたが、今までのところ、幸いにして戦死者は一人も出していません。
それでも、イラク・サマーワへ派遣された自衛隊員の数人が自殺して亡くなったとのことですが、南スーダンへ派遣された30代の自衛隊員が自殺したようです。詳しい状況はもちろん不明ですが、過酷な「戦場」体験がそのひきがねになったのではないでしょうか・・・。
この本に紹介されているマンガのセリフを紹介します。
「戦争に行け」と言う奴に限って、自分は行かない。
これは、正確には、もちろん自分は行かないのですが、自分の家族や親戚・知人まで行かなくていいように特別手配をします。
「国のために死ね」と言う奴に限って、自分は死なない。
これも、正確にいうと、死なないどころか、大もうけするのです。戦前の高級軍人は軍需メーカーと結託して甘い汁を吸っていましたし、今も防衛省の制服組たちが軍需産業に続々と天下りして、ぬくぬくとしています。彼らにとって、戦争はもうかるものなのです。
総がかり行動が目ざしたのは、「同円多心」。共通の目標という大きな円のなかに自立した「心」が多数存在するような、それぞれの団体・個人が自立したセンターであるような共同体づくりを目ざした。
私も国会周辺へは昼と夜に、各1回だけ行きましたが、すごい熱気でした。
安保法制法の制定を強行し、その前の秘密保護法、今度の共謀罪法の制定、そしてモリ・カケ疑惑の放置、日本の民主主義が足元から揺さぶられています。
日本国民をあまりにも馬鹿にした自民・公明政権に対して、強く反省を迫る必要があります。
(2017年3月刊。1800円+税)

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