弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年7月19日

猛禽探訪記

生物(鳥)

(霧山昴)
著者  大田 眞也 、 出版  弦書房

 熊本に生まれ、熊本で学校の教師をしていた著者が長年の野鳥観察をふまえて、ワシ、タカ、フクロウなどの生態を写真とともに紹介しています。
 クマタカ、オオタカ、イヌワシ、ツミ、トビ、サシバ、ミサゴ、ノスリ、チュウヒ、そしてハヤブサ・・・。著者は遠くから一見して違いが分かるようです。すごい識別眼ですね。私には、どれも似たような猛禽類としか見えません。
猛禽類(もうきんるい)とは、鉤形(かぎがた)に曲がった鋼鉄のような強靭で鋭い爪と嘴を有して、魚類や両生・爬虫類はおろか、さらには同じ鳥類より進化した哺乳類をも鋭い爪で鷲掴みにして捕え、鉤形の嘴と強い背筋力によって肉を引きちぎって食べてしまう猛々しい鳥のこと。タカ目、ハヤブサ目、それにフクロウ目をさす。
フクロウもタカやハヤブサと同じグループなんですね。
イヌワシのエサは、ニホンノウサギ(54%)、ヤマドリ(18%)、ヘビ(17%)。ワシって、意外にヘビをたくさん食べるのですね・・・。地上のヘビが、空中からよく見えるものです。
イヌワシは番(つがい)で狩りをすることが多い。ヒナが育つなかで、先に大きくなったほうが、小さいヒナを殺して、親が食べ、大きなヒナにも食べさせる。これを「イヌワシの兄弟殺し」という。残酷なようですけれど、合理的な子育てなのです。
クマタカは、山里での人の暮らしの中で共存してきた、山里を代表するタカである。
ミサゴは海中の魚を空から襲って食べる。しかし、その狩りは命がけで、獲物が大きすぎると、逆に水中に引き込まれて溺死することもある。
蜂を主食とするハチクマは、マレー半島やスマトラ島と日本を行き来している。50日あまりで、1万キロを飛ぶ。東シナ海を渡るときには、夜間も飛び続ける。いやはや、なんともすごいことです。
ハヤブサは時速282キロという記録をもっている。アマツバメの時速320キロに次ぐ。これって、まるで新幹線並みですね。どうやって、そんなエネルギーをあの小さな身体に保持しておくのでしょうか・・・。
鳥たちと人間がいつまでも共存できる自然環境を保持したいものです。
(2016年5月刊。2000円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー