弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年7月20日

福島第一原発・廃炉図鑑

社会

(霧山昴)
著者  開沼 博 、 出版  太田出版

 これだけ地震の多い国なのに、まだ原発を再稼働させようとするなんて、電力会社は正気の沙汰ではありません。自分の金もうけのためなら、日本人がどうなろうと、日本列島に人が住めなくなろうと、そんなの知ったことじゃないという姿勢です。許せません。
3.11から早くも5年が経ちました。福島第一原発の廃炉作業の現状を知りたい人には打ってつけの本です。写真がたくさんあって、状況がわかります。そして「いちえふ」というマンガで、作業員の状況を紹介した著者のマンガもあるので、さらに理解を助けてくれます。
1号機から4号機について、図解して、その現況が紹介されています。
放射能汚染水対策も、それなりに動いているようです。問題は、燃料デブリの処理です。あまりにも高濃度の放射能を発しているため、今でもその存在状況は把握できていません。
 4号機から燃料取り出しは、幸いなことに無事完了しました。30人の作業者チームが一日最大6班、1班あたり2時間交替で作業したとのことです。
 いま、福島第一原発で作業している人は、1日あたり7000人にもなります。そして、1500社もの事業者が関与しているのです。
昨年(2015年)9月には大型休憩所に食堂がオープンし、温かい食事が食べられるようになった。それまでは、コンビニ弁当に頼っていた。そして、ローソンが出店した。
勤務開始時間の午前8時に間に合うよう、バスはいわき市内を6時20分にスタートする。だから、5時過ぎには起きてバス停に向かう。終業時は、16時40分、残業する人に向けて6時と7時に2便が出ている。
作業員の平均年齢は46歳。このほか除染のために働いている人が、1万9千人いる。
原発の廃炉に向けた作業が真剣に取り組まれていることを知って、少しだけ安心しました。それでも、やっぱり原発って怖いですよね。東電の社長や会長(取締役は全員)が、家族ともども「福一」の近くに居住すること義務づけてほしいと思います。そうすると、もっと真剣に東電という会社は安全確保を考えるのではありませんか・・・。

(2016年7月刊。2300円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー