弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年2月20日

頂上決戦

警察

(霧山昴)
著者  濱 嘉之 、 出版  文春文庫

  大学時代に過激派に所属していて、今では経済ヤクザをしているという人物が登場します。ありうる設定です。
ZⅡとは、元反社会的勢力の構成員を意味する符号。Zは反社会的勢力で、Ⅱがつくと「元」になる。
中国人がもっとも心配する中国国内の三大安全問題の第一が食品、第二が医療、第三が環境。
一般的な秘密文書はマル秘。角秘とは、秘密文書に押印される印の形が丸ではなく、正方形の中に「秘」の字が記されており、マル秘以上に秘密が求められる。
公安部にはキャリアとノンキャリアの二つの参事官がいる。公安部長は警視監、二人の参事官はその下の警視長。
警察庁のチヨダの研修とは、情報専科を意味する。1か月間の専科講習には、全国から30人が選抜され、全員が偽名で受講する。そのなかで行われる行動確認訓練(要するに尾行訓練)は、5人一組で1人のマル対(対象者)に対して行う。このマル対象は、警視庁公安部出身の警部が就くのが慣例。行確時間は6時間。
岡広組(山口組をさす?)は、世界のあらゆる犯罪組織のなかで最大の収益力を有する。麻薬密売や賭博などの非合法ビジネスだけでも、総収入は800億ドル9兆8000億円に達する。
Nシステム対策は進んでいる。レンタカーを一日契約で乗り回す。Nシステムは当日限りになってしまっている。そして、Nシステムのある道路と高速道路はなるべく使わないようにしている。
今や、警察もIT機器をかなり活用しているようです。当然のこととは思いますが、行き過ぎて、プライバシーの保護を侵害しないようにしてもらいたいものです。暴力団(たとえば山口組)が中国での市場開放策の実情を知って、そこに乗り出しているようです。それに反比例して、若者の海外留学が減っています。残念でなりません。山口組の分裂、中国人の爆買いの実態をも生々しく描いた警察小説でした。
(2016年1月刊。660円+税)

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