弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年3月19日

グローバル・スーパーリッチ

アメリカ


著者  クリスティア・フリーランド 、 出版  早川書房

 アメリカ人の99%の人口の所得は、わずか0.2%しか増えていない。しかし、上位1%の人の所得は11.6%も増えている。この上位1%の人にとっては、間違いなく景気は回復している。これって、日本でも同じことが言えますよね。
アベノミクスとやらの恩恵を受けている人は、日本でも上位のわずかの人々で、大半の人は恩恵どころか、冷酷な仕打ちを受けて泣いています。
 1970年代、上位1%の人々の年収は国民層総所得の10%だった。ところが、その35年後には国民総所得の3分の1を占めている。
 2005年、ビル・ゲイツの財産は465億ドル、ウォーレン・バフェットの財産は440億ドルだった。ところが、アメリカ国民のうち所得の低い40%、合計1億2000万人の財産は、全部あわせて900億ドルなので、ゲイツとバフェットの二人分の財産合計とほとんど同じ。
 これって異常というより、間違っていますよね、絶対に。
 スーパーエリートの所有する自家用ジェット機は、託児室を設けられるほど広々としている。また、ヨットにはヘリコプター2機と潜水艦が装備され、水泳用プールもある。
 しかし、スーパーエリートは安定しない世界に生きている。トップに立つ者の足下はきわめて不安定であるうえ、その不安程度はいっそう増しつつある。フォーチュン500企業のCEO平均在任年数は、この10年間で9.5年から3.5年までに短縮した。
所得上位1%の人々のあいだにも一本のくっきりとした溝がある。そのうち0.1%のウルトラリッチは、残りの0.9%、たんなるスーパーリッチを大きく引き離している。この溝は文化の溝であり、経済の溝でもある。
 ハーバード大学卒業という輝かしい学歴をもつ人々のあいだでもトップ集団とそれ以外の差が広がっている。たとえば、金融業界の者の所得は、それ以外の同窓生の所得の2倍にもなる。人は、金持ちになるほど強欲になる。
アメリカの弁護士の世界でも、格差が大きくなっている。2011年、アメリカでも有数の法律事務所のパートナー弁護士は年収1000万ドルをこえる。しかし、弁護士の平均年収は64万ドル。
 スター弁護士は、一般のパートナー弁護士の10倍もの報酬を得ている。ロースクールを卒業して弁護士になった初年度の平均年収は8万4111ドル。弁護士全体だと13万0490ドル。これまた、日本でも同じことが言えそうです。
 2012年の長者番付に乗った1226人のうち、77人が金融関係、143人が投資関係の仕事をしている。300万ドルをこえる運用可能資産を所有するアメリカ人は4万人。この4万人のうち40%が金融業界の人間。超富裕層の0.1%のうち、18%が金融業界関係、銀行家。
持てる者は与えられ、いっそう豊かになる。だが、持たざる者はなけなしの持ちものまで奪われる。
 企業全体の価値が10%上昇すると、CEOの給与は3%上昇する。しかし、一般労働者の給与は平均して0.2%しか上昇しない。これまた日本にもあてはまりますね。トップの高給とりが目立ちます。年収1億円前後という大企業の取締役が日本でも珍しくないようになりました。格差がどんどん拡大しています。
みんな、だれでもスーパースターになれると思っているが、勝者が総取りする経済社会では、トップの空間に余裕がなく、大半の者がはじき出されてしまう。
 超富裕層の人々は、アメリカの人々の窮状に同情的であるとしても、自分たちがその窮状に加担してしまうのは仕方ないと割り切っている。
 こんな不公平な社会は、とても公正とは言えません。みんなで声をあげて変えていくべきだと私は思います。みなさん、いかがですか。ご一緒に声をあげましょうよ。
(2013年11月刊。2000円+税)
 日曜日(16日)、チューリップの花が一本、咲いているのを発見しました。先発隊です。火曜日には、三本に増えました。ピンクと黄色の花です。これから、毎日、楽しみです。どんどん増えて、楽しませてくれます。
 日曜日には、ジャガイモの根を植えつけました。娘がうねをつくってくれていましたので、そこに3種類のジャガイモを植えてみました。6月ころに収穫できるはずです。

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