弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2012年8月16日

宇宙はなぜこんなにうまくできているのか

宇宙

著者   村山 斉 、 出版   集英社  

 気温は、太陽の高度の違いによって変化する。
 だったら、太陽が低いほうが太陽の熱に低くなって熱いと思いますよね、ところが、違うのです。
 日本では夏のほうが冬より太陽が空高く昇るので、より多くの太陽光線を受けるから、暑くなる。うひゃあ、まるで逆でしたね・・・。
ニュートンが発見したのは、惑星が太陽のまわりを回るのも、石やリンゴが落ちるのも、まったく同じ原理によるものだということ。これによって、天上と地上とが別世界ではなくなった。
 アインシュタインの天才的なところは、それまで変化すると思われていた光速が一定になった代わりに、それまで不変だと思われていた空間が変化すると考えたところにある。
  E = mc²
 アインシュタインの有名な方程式は、それまで別々のものだと考えられていたエネルギーと質量が、本質的には同じであることを示した。物質の質量が、エネルギーに変わるということ。
人間は温度の高さを皮膚で感じて、暑い(熱い)、寒い(冷たい)などと言うが、これは分子の動きによるもの。夏の暑い日は、空気(酸素や窒素など)の分子が冬の寒い日よりも元気よくビュンビュン飛び回り、それが人間の皮膚にバチバチと激しく当たっているということ。ふやっ・・・、そうだったんですか。それにしても猛暑の夏です。
 ニュートリノは、人間の身体を1秒間に何十兆個も通り抜けている。ええーっ、それでも私たちは何も感じていないし、その痕跡すらないのですよね。不思議なことです・・・。
 大昔に超新星爆発を起こした星がさまざまな元素を宇宙空間にバラまき、それがまた集まって次の世代の星の材料になるといったサイクルが、宇宙ではくり返されている。
 太陽も、そうやって生まれた第二世代が第三世代の星。だから、太陽の惑星である地球に炭素や酸素や窒素や鉄などの元素があり、そのおかげで人間の身体も作られている。要するに、はるか昔に爆発した星の残骸によって私たち人間の身体はできているのだ。
なーるほど、私たちは、「宇宙で生まれた宇宙人」なんですね・・・。
 光は物質ではない。しかし、単なる波でもない。波であると同時に、粒であるという不思議な性質をもっている。
 空気のない宇宙空間では音が聞こえない。しかし、光は、空気がなくても伝わる。そして、真空にもエネルギーがある。ええーっ、何、これ・・・?
宇宙の話は、まるで手を伸ばして雲をつかむようなものばかりです。でも、そのスケールの大きさに圧倒され、しばし俗世間を忘れることができます。
(2012年6月刊。1100円+税)

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