弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年12月23日

カジノ解禁が日本を亡ぼす

社会

著者   若宮 健 、 出版   祥伝社新書

 今後、大阪市長になった橋下徹は府知事のとき、次のようにいってギャンブルを礼讃しました。
 「日本はギャンブルを遠ざけるがゆえに、坊ちゃん、お嬢ちゃんの国になった。小さい頃からギャンブルをしっかり積み重ね、国民全員を勝負師にするためにも、カジノ合法化法案を通してください」
 信じられない暴言です。子だくさんで有名な橋下徹が、自分の子どもをギャンブル漬けにするのは勝手でしょうが(我が子を本当に勝負師にしようと考えているのでしょうか・・・?)、子どもをみな勝負師になんて正気の沙汰ではありませんよね。
ギャンブル依存症はパチンコ依存症をふくめて病気なのである。パチンコ依存症による被害は恐ろしいものがあります。橋下徹は、そのことに故意に目をつぶり、ギャンブル業界のために笛吹きピエロになっています。
 大阪にカジノをつくることを呼びかけるなんて、一見目新しいようですが、実はいかにも古くさい政治手法です。自分と、その取り巻きだけでよければいいという、エゴむき出しの発想を感じます。
 マカオは、ラスベガスを抜いて世界一のカジノ王国となった。しかし、世界一といっても、売上高は2兆円にみたない。日本のパチンコ業界の売上高20兆円の1割でしかない。パチンコ店で業界トップのマルハンの売り上げは2兆円を超しているので、一社でマカオを陵駕している。日本は、すでに世界一のギャンブル大国である。
 カジノをつくって日本人が幸せになれるはずはありません。カジノ解禁は日本社会に今以上の混乱と貧困そして犯罪をもたらすだけでしかありません。韓国でもパチンコやカジノは規制されました。日本でもパチンコ店の規制は強化すべきなのではないでしょうか。
 著者から贈呈していただきました。引き続きのご健闘を期待しています。
(2011年11月刊。760円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー