弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年12月22日

ルポ・アメリカの医療破綻

アメリカ

著者   ジョナサン・コーン 、 出版   東洋経済新報社

 世界一の高度医療を受けられるアメリカは、その便益は金持ちだけで、平均的な国民は病気になったとき満足な治療を受けられる保証がないことを鋭く告発している本です。
 1990年代初め、ビル・クリントンは医療保険改革法案を議会に提出した。この法案が成立していれば、国民皆保険が実現し、医療保険業界が大きく姿を変えるはずだった。しかし、クリントンの試みは失敗に終わった。これについて大きな責任を負うべきは、どっちつかずの態度に終始した国民自身である。
 マスコミのキャンペーンの恐ろしさはアメリカも日本も同じことです。アメリカで国民皆保険を主張すると、社会主義者、アカだというレッテルを貼られるというのです。信じられません。それなら、日本もヨーロッパも、みんな社会主義国、アカの国ですよね。それでいいじゃないですか。アメリカの人は何を恐れているのでしょうね。
 医療費債務は、アメリカでは破産原因の2位になっている。破産に陥ったアメリカ人の相当数は無保険者だった。たった一度の緊急治療、あるいは入院して集中治療を受ける必要が生じたために、数万ドルから数十万ドルの医療費を請求され破産に追い込まれた。保険会社は、もっとも深刻な症状をかかえた人々を厄介払いする傾向がある。任意の医療保険を扱う会社は、既に病気を抱えた人は扱わないし、病気治療についても「厳格に」査定して、「必要のない」治療に保険を適用としないのです。結局、そこで泣かされるのは患者であり、家族です。ロサンゼルスは、もっとも深刻で、無保険者は全米一、200万人もいる。
 このような現実があるにもかかわらず、アメリカの世論は、医療保険については、おおむねクリントンの医療保険改革が挫折したころと同じように曖昧なままである。むしろ、当時より混迷の度は深まっている。大半の国民は、今も医療保険に加入しており、まずまず満足している。無保険者がいることは知っていても、その大半が失業者だと多くのアメリカ人は思い込んでいる。そして、必要なときには無保険者も医療を受けることができると思っている。人口の16%、4600万人のアメリカ人は医療保険にまったく加入していない。2013年には、無保険者は5600万人に達すると予測されている。そして、保険に加入していても、医療費の支払いに四苦八苦している人は少なくない。ブッシュとブッシュを支援する勢力は、規制は保険業界の自由な活動を妨げるからよくない、政府が管理する高齢者向け処方薬給付は医療品業界の利益を損なうからよくない。公的保険プログラムは財源を税金に頼り、否応なしに富裕層が大企業が最大の負担を負うからよくない。このように考えている。
 アメリカの保守派は、自分の生命は自分で守るのが人間としての当然の誇りというカウボーイ文化がある。彼らは自分の甲斐性がなく、家族の健康保険に加入できないような人間の分まで、どうして自分が負担しなくてはならないのかが分からないのだ。
しかし、日本にもアメリカを笑えない現実があります。国民健康保険料を滞納しているのは461万世帯(2006年、19%)、実質的な無保険者が35万人(2007年)に達している。
 病気になったとき、安心して治療を受けられる世の中であってほしいものです。絶対にアメリカのような国に日本はなってほしくないと改めてしみじみ思ったことでした。
(2011年9月刊。2000円+税)

 フランス語検定試験(準1級)の結果が分かりました。合格です。基準点71点のところ、得点73点でした。自己採点では76点でしたので、3点だけ甘い評価だったということです。1月に口頭試験を受けます。今から緊張しています。いまパリに留学中の娘と、ネットで話すときにはいつもお互いフランス語で話すようにしています。カルチェラタンのガレット屋さんでアルバイトをしています。とても日本人客の多い店のようです。ぜひ行ってやってください。丸い顔をした女の子がいたら、私の娘です。

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