弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2011年3月26日

絵草紙屋・・・江戸の浮世絵ショップ

日本史(江戸)

著者  鈴木 俊幸、   出版  平凡社 
 
 まっこと、日本人っていうのは昔から本が大好きなんですよね。江戸時代、大人も子どもも、本屋の前に広く集まり、江戸では新刊本を、地方では古本を待ち焦がれていたのでした。
 地本(じほん)とは、江戸で、生産される草紙類のこと。豪華な印刷。錦絵は、江戸の繁華を象徴するものであり、最新の流行を盛り込んで、「通」の美意識にかなうお洒落なものだった。地本は、絵草紙屋という店で商われる。小売専業の店が江戸に出来て、錦絵を商品の主体とした。浮世絵のなかで、もっとも主要なジャンルは芝居絵である。相撲絵や吉原の遊女の姿絵も主要なジャンルの一つであった。
そして、きれいな浮世絵が店先に吊るし売りされている絵草紙屋は掏摸(すり)のかっこうの稼ぎ場でもあった。絵草紙屋の店先に吊るされていた浮世絵をポカンと大口をあけて眺めていると、そっとスリが近づいてきて、フトコロの財布を盗んでいってしまう。絵草紙屋の主人はそれに気がついても黙って成り行きを見ているだけ。そんな状況が紹介されています。昔も今も変わらない情景ですね・・・・。
絵草紙屋には、春画・書本の類も置かれていて、根強い人気商品だった。
 参勤交代などで、地方から江戸へ出てきた田舎にとって、「土産の第一」は、浮世絵だった。国元への土産に大量に買い付けた。田舎へ持って帰るのには、新版である必要はない。浮世絵は吊るし売りされていた。観光地であり、行楽地である浅草は、小売専業の絵草紙屋が登場した。
 江戸時代の貴重なメディアの一つであった絵草紙の興亡を知ることができました。
(2010年12月刊。2800円+税)

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