弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2008年7月11日

戦争が遺したもの

社会

著者:内田雅敏・鈴木茂臣、出版社:れんが書房新社
 前に『半世紀前からの贈物』(れんが書房新社)という本を紹介しました。1958年12月につくられた小学校2年生の文集『いつつぼし』を復刊したという本です。著者の一人は私より3歳年長の弁護士で、いま日弁連憲法委員会でよく顔をあわせます。この本は、前の本の反響を紹介する本でもあります。内田弁護士(さん)の出版意欲には、さすがの私もほとほと呆れるほどです。私も負けずにがんばります。
 内田さんたちの恩師が元気なころに語った録音テープが反訳され、紹介されています。恩師79歳のときの話です。
 ご主人を昭和20年6月9日の空襲によって亡くしておられます。1トン爆弾の直撃を受けたのです。その後、2人の子どもをかかえて小学校の教員となり、65歳まで勤めあげたのです。恩師は次のように語っています。
 戦争で有望な大勢の若い人たちが無惨にも散ってしまい、本当に残念に思います。二度と戦争の悲惨さを味わってはならない。平和な世界をみなさんで築いていただきたいと願っています。
 この願いに私たちはこたえなければいけません。
 久子先生(恩師の先生です)は、とにかくお優しく、いつもニコニコしていらしたという思い出が紹介されています。
 昔の先生は、今より心に余裕があったのでしょうか。今は上からのしめつけが私たちの想像する以上に厳しいようですね。学校の先生はもっと大切にされなければいけないと思います。子どもたちを立派に育てるという大切な仕事をしている教師を粗末に扱ったら、子どもに、そして、日本に未来はありませんよね。
 内田先生、ありがとうございました。日本と世界の平和を守るために、これからもがんばりましょう。
(2008年5月刊。700円+税)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー