弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年11月24日

天皇の牧場を守れ

著者:横田哲治、出版社:日経BP社
 宮内庁の御料牧場(農場)は、大久保利通によって明治8年に開設され、以来130年になるが、鶏インフルエンザ、牛のBSE、豚の口蹄疫などの法定伝染病と無縁である。
 御料牧場では、鶏舎は三重の網で囲われている。カラスなどの中型の野鳥が入らないための大きめの網、スズメなどの小鳥が入らないためのネット、そしてさらに細かいネットが張られている。鶏インフルエンザのウイルスは、野鳥からの感染も心配なのだ。
 茨城県では570万羽の鶏が鶏インフルエンザのために処分された。そのうち、世界一の養鶏業といわれるイセファーム(株)では、350万場が処分された。これは、ウインドレス鶏舎(窓がない)である。御料牧場は、その近くにあるけれど大丈夫なのです。なぜか?
 御料牧場は、天皇家のライフライン。週2回、白い車で皇居へ搬入している。御料牧場では、第1に鶏の移動をしない。第2に鶏の糞便をつけたトラック、人、長靴などを十分に消毒する。第3に、野鳥や動物などを鶏舎に近づけない。
 鶏は生後700日たつと病気への抵抗力が低下する。そこで、御料牧場では、400〜500日で鶏のヒナを入れる。さらに、エサも工夫している。にんにくやとうがらしを加え、サプリメントを加えることもある。
 600万羽の鶏を処理するにも、お金がかかる。1羽につき500円を要する。つまり、600万羽で30億円かかる。そして、鶏インフルエンザは、人間も感染して風邪や高熱をひきおこす。死亡率は65歳以上で80〜90%という高率だ。
 現在に日本の食料自給率は40%(カロリーベース)だが、天皇一家の食事には輸入農産物はまったくない。すべて国内で生産された安全な食料だ。良質な卵は一ヶ月おいても、美味しく食べられる。家畜の健康管理には、4人の獣医師が目を光らせている。
 御料牧場は400頭のめん羊を飼育している。サフォーク種という、鼻の黒い肉用の品種。ここの羊の肉の旨さの秘密は、飼養管理にある。とりわけ餌が重要だ。
 御料牧場では、たとえ輸入飼料でも、可能なかぎり有機栽培の穀物をつかっている。有機栽培の資料は一般より30%以上も割高だが、そんなことは問題としない。
 このように、天皇一家は純国産の食料で健康保持を図っているわけです。ところが、私たち庶民は、いつもアメリカべったりの自民党政府によって、またもや狂牛病の心配のあるアメリカ牛肉を押しつけられつつあります。庶民がどうなろうと知ったこっちゃない。大切なのは、ご主人様であるアメリカ様のご意向だ。そんな安倍政権には、ほとほと呆れてしまいます。

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