弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年11月24日

萌えるアメリカ

著者:堀淵清治、出版社:日経BP社
 米国人は、いかにしてMANGAを読むようになったか、というのがサブ・タイトルです。アメリカで日本のマンガを読む人が増えていて、オタク族であることを自慢気に高言する人がいて、ついにやおい系マンガ愛好者までいるというのです。そして、いまや「少年ジャンプ」がそのまま「SHONEN JYUMP」としてアメリカで発売されているというのですから、ビックリします。なんと、毎月20万部も売れているそうです。まあ、たしかに日本のマンガはストーリーがよく出来ていると私も思います。
 私はマンガは大学生で卒業した気分です。大学生のときは、少年マガジン、少年サンデーを毎週欠かさず読んでいましたし、「ガロ」のカムイ外伝なんて、歴史書物を読むような気分でじっくり読んでいました。その後は、手塚治虫のマンガを読んだくらいで、電車のなかで大人が少年ジャンプを読みふけっているのには、ちょっと異和感を感じたものです。
 2005年のアメリカ、カナダにおける日本マンガの単行本市場は210億円、北米における日本アニメのDVD売上総額300億円に急速に近づきつつある。しかも、このところ売上総額が横ばい傾向にあるアニメに対して、マンガのほうは、2002年に売上総額が1億ドルに達してから、2003年に1億2500万ドル、2004年に1億4000万ドルと、その市場規模は順調に拡大してきた。
 日本とアメリカの本の違いがある。日本は右開き、アメリカは左開き。だから印刷は反転印刷した。そして、翻訳も難しかった。
 苦難のときを迎えて、それをなんとか乗り切り、ヨーロッパにも進出しました。ところがドイツでは90年代末に爆発的に広がったものの、イギリスではもうひとつ。ふむむ、やはり、国民性の違いなんでしょうかね。
 やおい系というのは、男性キャラクターの同性愛をテーマにした女性向けのマンガやアニメ・小説のこと。女性が読者なので、男性同士の同性愛の実態とはかけ離れた幻想にもとづいている。そこでは、マッチョな肉体美とかギリシャ彫刻のような精悍さではなく、あくまでも女性たちが創り出した中性的な美しさがある。
 海外の日本マンガ・ファンは自分たちのことをOTAKUと誇らし気に呼んでいる。
 うむむ、アメリカで日本マンガがそんなに健闘しているのか。初めて知りました。著者は団塊世代より少し下の年代です。アメリカに渡ってヒッピー文化に触れながら日本文化をアメリカに伝えようと苦闘してきたようです。
 たかがマンガ。されど、マンガ。そんな気にさせる本でした。

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