弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年9月15日

中国を取るアメリカ、見捨てられる日本

著者:矢部 武、出版社:光文社ペーパーバックス
 アメリカ人にとって、日本はもはや魅力や興奮を与えてくれる存在ではなくなり、その座を中国に取って代わられてしまった。アメリカのメディアにおける日本関連報道は激減し、アメリカ人の日本への関心は低下している。アメリカのメディアは、東京支局を閉鎖したり、縮小している。日本軽視、中国重視の傾向が強まっている。
 2003年、中国のGDPは1兆4000億ドルで世界第7位。2005年には2兆2000億ドルを超え、フランス・イギリスを抜いて世界4位となった。2017年には中国は日本に追いついて世界第2位となるとみられている。
 靖国神社にこだわる小泉首相によって日中首脳会議も開けない。隣国と対話できない日本は、アメリカにとっても役に立たない。日米同盟が機能するのは、日本が東アジアのなかで役割を果たしてこそだ。
 中国人の贅沢品・娯楽の年間消費高は20億ドル、世界全体の12%。これは、アメリカ、日本に次いで、世界第3位。カリフォルニア大学バークレー校では、2004年まで受講者数1位だった日本語は、中国語にとってかわられた。ハーバード大学でも同じ。日本語クラスを減らして、中国語を増やしている。受講者は中国語580人、日本語は半分以下の269人。
 戦犯を祀っている靖国神社へ小泉首相が参拝すれば、中国・韓国だけでなく、欧米をふくむ世界の国々からの理解は得られない。それは日本の国益にとって大きなマイナスとなる。
 小泉首相が何と言おうが、日本が中国を侵略したという過去を変えることはできない。小泉首相の靖国参拝は、「日本は悪くなかった。日本も被害者だった」と考える人々を勢いづかせ、それが一般日本人の対中観の悪化にも影響を与えている。その責任は重大である。そんな人々が小泉政権の強い支持基盤になっているのだろう。
 日本国憲法9条を改正しようという動きは、アメリカが冷戦の終結後、憲法9条を改正して、「普通の国」になっているよう圧力をかけてきたことによる。普通なら内政干渉として大問題になるところだ。しかし,日本がアメリカに抗議したことは一度もない。こんなことで、はたして日本は独立した民主主義国家と言えるのだろうか?
 いやあ、本当にそのとおりですね。情けないと私も、つくづく思ってしまいました。
 日曜日(10日),庭に出て剪定しました。ナツメの木や梅の木などが伸びすぎているのをカットし、ヒマワリはまだ咲いていましたが強制終了させてしまいました。芙蓉のピンクの花、アンデスの乙女の黄色い粒々の花、そしてエンゼルストランペットの淡い黄色の花が今、咲いています。下の田んぼの稲穂も次第に頭を下げてきました。秋の気配を日々感じるこのごろです。

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