弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年4月14日

電通の正体

著者:週刊金曜日、出版社:別冊ブックレット
 電通はクライアントを3つに分けている。まずは広告売上げが年に100億円をこえる企業。トヨタ自動車(年に1000億円)、松下電器産業、花王、NTT。これらの企業のためには電通はエース級の社員でチームをつくり、全社をあげて取りくむ。
 次のランクは、大塚製薬、明治乳業、三共製薬、KDDIなどの中堅どころの企業。このランクがもっとも層が厚い。落としても代わりの社を取れば問題なしという扱い。
 最後のランクは、いつ関係が途切れるかわからない会社。電通は粗利を支えるため、ためらうことなく引き受ける。
 テレビ局にとっては電通が最優先。スポンサーが降りたりして空きが出ると、テレビ局は、まずは電通用にスポット枠をとっておく。
 田原総一朗の妻が死んだとき、そのお通夜の葬儀委員長は電通の成田豊会長だった。
 小泉首相にワン・フレーズ・ポリティックスをアドバイスしたのは電通だ。15秒以内のスローガンの羅列で、ワン・メッセージで端的に言う大切さを、電通から小泉首相は学んで実行している。
 電通の平均給与は年1300万円。一般社員でも30歳半ばで1000万円をこえてしまう。専務・常務クラスになると、何も仕事せずに、秘書と車がついて年収は4〜5000万円に達する。全国の電通ビルは、ほとんど全部が自社ビル。
 マスコミ、とくに広告業界のすさまじさを痛感させられました。私も、日弁連の役員をしていたときに、弁護士会の広報強化のために電通の知恵を借りるプロジェクト・チームに参加したことがありますが、その費用がびっくりするほど高額だったのに驚きました。電通から5人も6人も来るのです。こっちは1人か2人で十分だと思っていたのですが・・・。
 金権政治をすすめているもののひとつが、電通のようなコンサルタント会社にあることがよく分かる本でもあります。

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