弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年2月20日

皮膚は考える

著者:傳田光洋、出版社:岩波科学ライブラリー
 皮膚は、それ自体が独自に、感じ、考え、判断し、行動する。皮膚は単に環境と生体の境界をつくるだけでなく、環境の変化に応じて、さまざまな信号を発信している。その表皮からの信号は免疫系や中枢神経系などと密接な関係をもっている。
 成人の皮膚の面積は1.6平方メートル、たたみ一畳分の大きさ。重さはおよそ3キログラム。表皮はパワフルな電池でもある。表皮は裏側を基準にすると100ミリボルトに近いマイナスの電圧をもっている。表皮の裏と表とに電位差がある。つまり表皮そのものが電池なのである。細胞の内外にイオンの濃度差ができるので、電位差が発生する。皮膚の表面電位は、生きている表皮細胞がエネルギーをつかって起こしているものだ。老人のカサカサ肌の原因は、この電池切れによって起きている。
 皮膚は他の臓器と違って他人のものを移植することはできない。皮膚には自分のものではない物質を見分ける機能がある。
 皮膚は光を感じて、その情報を内分泌系、神経系に伝えている可能性がある。
 皮膚は興奮しっぱなしだと肌荒れがおきる。その興奮を鎮めてやることが肌荒れを改善し、皮膚のバリア機能を健康に保つ。
 環境からのさまざまな心的ストレスは皮膚機能に影響を及ぼす。逆に、リラクゼーションによって、その影響を緩和できる。
 皮膚の健康は身体全体の健康をもたらす。ヤリイカも弱ってくるときは、まず皮膚がダメになってくる。
 私は、十数年来、ほとんど風邪をひきません。毎週のようにプールで30分かけて1キロ泳ぎ、毎朝、冷水シャワーをあび、毎晩、お風呂あがりに冷水シャワーをあびているおかげです。若いときにはお風呂でタワシをつかって皮膚を鍛えていました(少なくとも、そのつもりでした)。ところが、背中の皮膚がカサカサになって痒いので、皮膚科の医師(私の小学校の同級生です)に診てもらったところ、年とったら、そんなことをしてはいけない。大切な表皮をはぎとるようなもので、良くない、もう年齢(とし)を考えなさいと戒められました。それからは、手にせっけんを塗って身体をなでまわすだけにしています。この本は表皮の大切さを強調しています。
 ところで、1960年生まれの著者はうつ病にかかりましたが、気功で治ったといいます。気功と同じようなものとして鍼灸があります。経絡という「気」の伝達経路が知られています。著者は、その経絡についても皮膚の科学が発達すれば、解明されていくだろうと予測しています。なーるほど、皮膚の果たしている役割を知ると、そうかもしれないなと私は思いました。

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