弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年2月20日

結婚式、幸せを創る儀式

著者:石井研士、出版社:NHKブックス
 1947年の婚姻率は12.0%で戦後最高。2004年は半分以下の5.7%でしかない。婚姻件数の最高は1972年の110万件。
 初婚年齢は上昇している。1947年には、夫26.1歳、妻22.9歳だった。2004年は夫は29.6歳、妻27.8歳。
 神前結婚式は明治になってつくられた儀式。一般へ普及したのは第二次大戦後。8割の実施率だった神前結婚式が2割にまで減少するのに15年しかかかっていない。
 1996年に66%だった神前結婚式は、2002年には28%になった。キリスト教結婚式は26%から56%へ増加した。なぜ日本人がチャペルで挙式するのを好むようになったのか?
 それは信仰の表明ということではない。日本のキリスト教信者は215万人、人口の 1.7%少ししか増えていない。
 カトリック教会は結婚に対する制約が厳しく、めったに日本人の結婚式はなされない。受け入れているのは、ほとんどプロテスタント教会だ。チャペルは、日本の結婚プロデュース会社が建てた日本人の結婚式専用の礼拝堂だ。つまり、日本人カップルは本物の教会ではなく、教会のような建物で挙式しているにすぎない。
 海外で結婚式をあげる日本人は年間およそ4万組。ハワイの教会にとって、日本人の挙式は大きな収入源となっている。いまや、ハワイのビッグビジネスだ。
 カトリック教会は、海外で禁止されている未信者同士の結婚式を、日本での特例としてバチカンに認めさせた。日本でのカトリック信徒は、わずか人口の0.3%でしかない。
 教会での結婚式の魅力のひとつが、衣裳について、神主式よりも個性を発揮しやすいことにある。手作りをふくめて多様な選択肢がある。
 結婚式は儀式化がすすみ、土曜、日曜に8割以上が集中している。大安などの六輝を重視するカップルが5割をこえる。結婚式は、多くの人にとって人生で唯一のハレ舞台。
 江戸時代の嫁入りは夕方か夜に行われた。
 戦後しばらくは、結婚式は家で行われるのが一般的だった。1950年代から60年代までは神社での挙式が増加した。神前結婚式は1964年以降、場所を神社からホテルや結婚式場、専門式場へと移した。そして、挙式と披露宴を同じ会場で行うことが多くなってきた。
 仏前結婚式は少ない。それは、一般的にいって、日本人と仏教とは、死者を媒介してつながっているから。新しい門出のイメージと寺院のイメージは、うまく結びつかない。
 特定の宗教団体に属している日本人は1割にすぎない。しかし、一見すると宗教的でない日本人は、実は十分に宗教的なのである。ただ、宗教者の関与しない人前結婚式もふえている。
 バレンタインデーは、1950年代からデパートのセールとしてあったが、1968年をピークに減少。そのかわり1970年代になって、小学校高学年から高校生の女の子が好きな男にチョコレートを贈るようになってブームになった。
 ちなみに私は、冷房もない労働会館で夏の終わりに会費制の人前結婚式をあげました。今も残る8ミリビデオに参加者が汗をふき、扇子をあおいでいる姿がうつっていて、申し訳ない気がします。セツルメントの大先輩の夫妻に仲人になっていただきました。まったく手持ち資金がなかったため、親から10万円もらい、別に10万円を借りました。会費制の結婚式の収支は黒字となり、カメラ(アサヒペンタックス)を買いました。親へは、弁護士になってから利子をつけて返済しました。当時は実行委員会をつくって会費制で結婚式をあげるのがはやっていたのです。結婚記念文集もつくりました。

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