弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年1月13日

光の国・インド再発見

著者:我妻和男、出版社:麗澤大学出版会
 10億をこえる人口をもつインドには、少なく見積もっても300の言語があります。紙幣で100ルピーと表示するのにも、15言語で書かれているのです。他の州に行けば、ほとんど字が読めません。それでもインドの識字率はインド全体で65%。男性75%、女性54%ですから、高いというべきでしょう。
 インドの人口は本当は11億人ではないかと噂されています。あと20年もすれば中国を抜いて世界第1位になることでしょう。
 有名なマハトマ・カンジー(この本では、ガーンディー)についても紹介があります。ガーンディーとは、香辛料を商う人という意味だそうです。ガーンディーの祖父から3代にわたって藩王国のディーワーン職をつとめていました。ディーワーンというのは首相とか総理大臣と訳されていますが、誤解を招きやすい。民事事件の調査、治水工事の監督などを職務とする役職の名前でした。
 インダス文明は紀元前2500年をはさんで前後1000年ほどのあいだに栄えた古代文明です。その最大の特徴は、軍事力を背景とした王が存在しないということだそうです。えーっ、それでどうやって国を統治していたのでしょうか・・・。インダス文字が解読されていないため、その全貌は不明のままだということです。
 ゴータマ・ブッダは、憎しみをもって憎しみに報ずれば、憎しみは絶えることがないと説きました。かつブッシュによくよく叩きこみたい言葉です。
 インドといえば、なんと言っても映画でしょう。年間につくられる映画がコンスタントに800本、2001年には、なんと1013本もつくられたそうです。アメリカが400本、日本は300本というのですから、ケタ違いの多さです。インドではアメリカ(ハリウッド)映画よりも自国の映画が好きです。
 インド映画は「踊るマハラジャ」のように、途中で必ず歌と踊りがはいります。例外的に入っていないのもありますが、観客は歌と踊りの入っているのを圧倒的に好むのです。上映時間も3時間というように長く、途中で休憩が入るのです。観客は映画を見ながら泣き、笑い、そして歌をうたって、踊り狂います。ちょっと日本とは違いますね。
 インドは貧富の格差が大きい国として知られていますが、統計のうえでは、ブラジル31.5倍、メキシコ19.3倍、中国10.7倍、アメリカ8.4倍に比べて4.7倍と、格差はそれほど大きいものではありません。ちなみに、日本は3.4倍です。経済の発展にともなって所得格差が縮小している現実があるのです。ちょっと不思議ですよね。
 インドでは日本のカラオケははやっていません。他人(ひと)の前で歌をうたうのは乞食のカーストのやることという心理的抵抗感が強いからです。
 言ってみたいなという気持ちも少しはあるのですが、なにしろ遠くて・・・と思っているところです。

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