弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年8月 2日

それでもやっぱりがんばらない

著者:鎌田 實、出版社:集英社
 がんは冷やしたらダメ。乳がんや子宮がん、卵巣がんなど、女性のがんはあたためなければいけない。体温が上がると、がん細胞とたたかうリンパ球が働きやすくなる。免疫機能は温度が上がった方が働きやすくなる。身体を温めるのは、がんの予防にもなる。また、副交感神経を刺激すると、リンパ球が増える。だから、がんとたたかうためには、ホッとしている時間をつくることが大切。
 余命告知はあたらないことが多いわりに、本人や家族を暗い気持ちにして免疫機能を低下させる。免疫機能を上げるためには、希望をもてる話をすべき。ところが、あとで家族から責められないように、医師はことさら厳しく告知する傾向がある。そんな言葉にまどわされず、希望を持ち続けることが大切だ。
 著者は父親から一度も誉めてもらったことがないそうです。厳しく、怖い父親だったようです。叱られて、叱られて、ぼくは育った。こう書かれています。学校の百メートル競走で1位になっても父は誉めてくれなかった。学校の試験でいい点をとっても父は誉めてくれなかった。余力を残しているのを見抜いていたからだ。全力を出しきらない息子を父親は認めようとしなかった。
 うーん、なんだかよく分かりません。なぜだったんでしょうね・・・。私は、それほど父親から直接誉めてもらったという記憶はありませんが、それでも叱られて、叱られて、ということは決してありませんでした。
 なんだか、ほのぼの、ほんわり軽い気持ちにしてくれる本です。カットの絵も癒し系です。私と同世代の著者は定年まであと10年を残して、院長として勤めていた病院を早期自主退職してしまいました。すごい決断です。がんばりすぎないで、自分に正直に生きていきたいという著者の静かな訴えがよく伝わってくる本です。

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