弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年5月17日

警察内部告発者

著者:原田宏二、出版社:講談社
 私よりひとまわり上の世代ですが、その勇気に心から敬意を表したいと思います。思わず襟をただしながら読みすすめていきました。「うたう警官」(角川春樹事務所)は、この本を読むと、まさにノンフィクションなんだと思いました。まさかと思うようなことが実話なんですね・・・。なにしろ130キログラムの覚せい剤、大麻2トンの密輸、そして「クビなし拳銃」が警察署内の引き出しにゴロゴロしているなんて、とても信じられない日本警察の現実です。
 著者の勇気とあわせて、告発に同行した札幌の市川守弘弁護士の不屈の闘志にも拍手したいと思います。だって、弁護士だって心のなかでは警察が牙をむき出したら恐いと思っているんですから・・・。ただ、本件では著者や市川弁護士が用心したことに加えて、ジャーナリズムが一定の役割を果たしたことも、身を守る盾になったのだと思います。それも、中央ジャーナリズムではなく、地方の「道新」(北海道新聞)のがんばりです。それに比べると、西日本新聞は警察に対してはやや腰くだけの感を受けて仕方ありません。
 著者が警察の裏金問題を告発するために記者会見にのぞもうとするとき、何人もの記者から、やめた方がよいとアドバイスされたそうです。ジャーナリズムの堕落ぶりを改めて痛感しました。そんな記者に報道の自由を言う資格なんてない。私は怒りすら感じました。
 「クビなし拳銃」という言葉を私は始めて知りました。犯人はいないのです。ただ、どこからか拳銃が出てきて、それを押収するのです。稲葉警部は8年間に100丁の拳銃を 押収し、そのうち64丁がクビなしだったというのです。開いた口がふさがらない異常さです。
 警察の裏金づくりが体験と日誌にもとづいて淡々と語られますから、なるほど、なるほどと、よく理解できます。会計検査院が来るときには、東京からわざわざ警察庁の係官がやって来て、予行演習させられるというのです。
 部外者からすると、署長交際費など、必要経費はなるべく認めればいいように思うのですが、そこは恐らく人間の欲望がからんでいるのでしょうね。税金がかからず自由に好きなように使える裏金というものはなかなかなくなりそうもありません。とくにひどいのは警備・公安警察のようです。協力者(スパイのこと。S)をかかえこむために必要だということで、その実態はまったく明らかにされていません。ところが、刑事警察の2倍から4倍近くの支出が認められているというのです。彼らが相も変わらず「共産党対策」と称して甘い汁を吸っているのかと思うと、腹が煮えくり返ってりそうなほど全身が怒りにふるえました。
 著者は「明るい警察を実現する全国ネットワーク」という組織をつくって活動をすすめているとのことです。福岡でも、ぜひ応援したいものだと思いました。警察の裏金問題はまだ終わっていないのですから・・・。

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