弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年2月22日

カブトムシと進化論

著者:河野和男、出版社:新思索社
 ダーウィン進化論に異議ありという理論は、正直なところさっぱり分かりませんでした。でも、世界中のカブトムシやクワガタムシのコレクションの写真は実に素晴らしく、何回見ても見飽きることがありません。
 カブトムシが犬くらいの大きさであったとしたら、この世でもっとも迫力のある生きものであることは間違いない。そんなダーウィンの言葉が紹介されています。なるほど体調10センチほどのコーカサスカブトムシのツノの見事さにはほれぼれするばかりです。ツノが5本あるカブトムシ(ゴホンツノカブトムシ)がいることも初めて知りました。カブトムシは温帯よりも熱帯地方にたくさんの種類がいます。それこそ大小さまざまで、ツノも長かったり短かったり、いろいろです。
 個体発生は系統発生を繰り返すという説は定説になっているものと思っていましたが、なんと、今では荒唐無稽な説として否定されているそうです。でも、本当にそうなのかしらん・・・?
 いま地球は第6回目の大絶滅のまっただなかにあるのではないか、という著者の指摘に接して、ドキッとしました。これまでの5回の大絶滅は地球環境の変化や天然災害が原因だったとしても、今回の第6回目は、人間が原因をつくっているのではないのか。しかも、その絶滅のスピードが早すぎる。そう指摘されています。うーん、そうなんですよね・・・。たとえば、熱帯雨林は、地球上の全陸地の1.4%を占めるにすぎないけれど、全植物種の44%、動物種の33%をかかえている。その熱帯雨林が消滅しつつある。そうなったら、これらの動植物種も絶滅してしまうだろう。生物分類群は、一度失われてしまえば、たとえ何千何万年、何億年かけても、それと同じものが再び地球上に進化してくる可能性はない。進化にセカンドチャンスはない。
 いろんなカブトムシを眺めることができるのは、人間がいろいろいてもいいということを意味しています。カブトムシの種類が少なくなったら、人間だって多様性の保障はありません。私たちは目先の利害にばかりにとらわれすぎているとしか思えません。いかがでしょうか・・・。

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