弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年8月 1日

韓国陸軍、オレの912日

著者:チュ・チュヨン、出版社:彩流社
 いまは日本に住む元韓国陸軍兵長が、自分の徴兵・軍隊体験をイラストつきで紹介している。この種の本はすでに何冊か出ているが、詳細なイラストが参考になる。
 著者は軍隊に入る前に大学で学生運動の経験があった。それでとくに苛められたとは書かれていないが、兵役をすませたあとは学生運動を続ける気はなくなったという。
 軍隊経験は懐かしい思い出。しかし、それでも、もう二度と軍隊には行きたくない。理不尽に殴られ、命令に絶対服従しなければならない辛く苦しい生活はもう二度と経験したくない。一度行ってみるのはいいかもしれない。でも、二度と行くのはゴメンだ。それが軍隊だ。この本を読むと、誰だってなるほどと思うだろう。
 徴兵されて訓練が終わったとき、訓練所司令部内に自殺者の写真をずらりと並べてあって、それを見学しなければならないというのに驚かされた。小銃を口にくわえて自殺し、頭が吹っ飛んだ写真。手榴弾で身体が木っ端みじんになり、人間の原形をとどめない遺体。飛び降り自殺をした遺体などを見せつけられる。まさしく非人間的な世界だ。
 軟弱な私は、日本に生まれてよかった。つくづくそう思う。

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