弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年2月 1日

おい、ブッシュ、世界を返せ

著者:マイケル・ムーア、出版社:アーティストハウス
 『アホでマヌケなアメリカ白人』(柏書房)に続く第2弾です。鋭い舌鋒でブッシュ大統領を追求していく様が小気味よく、胸がスーッとしてきます。マイケル・ムーア監督の『ボウリング・フォー・コロンバイン』も考えさせる、いい映画でした。
 ブッシュ一族は、ビン・ラディン一族とビジネス上の深い関係があり、あの9.11の数日後にビン・ラディン族一族24人をアメリカから緊急出国させたなんて、とても信じがたい話です。
 イラクに大量破壊兵器なるものがなかったことはアメリカ占領後、半年間かけて念入りに捜索したCIAの責任者が明言したところです。では、アメリカのイラク侵攻はいったい何を根拠としたものだったのでしょうか?間違いはただされなければなりません。日本政府もイラクへ自衛隊を派遣する前に、はっきりした声明を出す責任があると思います。
 キューバにあるアメリカのグアンタナモ基地には、アフガン戦争で捕らえられた捕虜680人が今も収容されています。弁護士もつかず、裁判にかけられることもなく、無期限の収容なのです。本当にアメリカは無法な国だと思います。
 ところで、アメリカには「死んだ小作人の保険金」とか「死んだ門番の保険金」と呼ばれるものがあることを知りました。企業が従業員にこっそり生命保険をかけていて、従業員が死んだら会社が高額の保険金を受けとるという、日本でも問題になっているものです。会社が従業員の死によって不当にもうけるのは許せないことだと思います。従業員の遺族に渡すべきお金だと私は思います。日本の裁判所も、最近は少しずつ理解を示してはいますが、まだまだ会社の利益を優先させる考えが根強いようです。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー