弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年2月 1日

明るいガン治療

著者:植松稔、出版社:三省堂
 「がんなら、切る」は、もうやめようというコピーがオビに書かれています。では、どうするの? 放射線治療です。多次元ピンポイント照射で治った実例が写真つきで示されています。
 ガンとは、ひとくくりになどとてもできない、多様な疾患群の総称。分裂速度の遅いガンでは、転移があるのに何年も元気にしている患者も珍しくない。一人ひとりのガンは、ガン細胞の分裂の速さ、浸潤や転移の度合い、患者の年齢や全身状態、選んだ治療法の適切さや身体的負担の強弱などの要素がからみあって、ガンの経過と結果が決まる。だから、ガン治療の選択も従来の画一的な常識にとらわれない柔軟な発想が求められている。それなりに確率された治療法のある早期ガンと違って、転移ガンに対する治療は、原則としてすべて手探りで、標準治療などない。
 だから、転移による切迫した症状がないなら、あわてて治療に走るのは賢明ではない。治療しなければ長期間元気でいられたはずの患者が、治療の副作用で短期間のうちに状態を悪くしてしまう。やらなくてもよかった治療で副作用に悩まされることもある。つらい治療を受けた人が必ずしも良い結果を得ているとは限らない。つらい治療は患者の体力を確実に消耗させる。できれば、治療しないで主治医とともに経過観察してみるのもよい。
 がん治療のことは良く分かりませんが、なかなか考えさせられる提言だと思いました。

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