弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年2月 1日

雪国の自然と暮らし

著者:市川健夫、出版社:小峰書店
 長野県と新潟県にまたがる日本有数の豪雪地帯、秋山郷の暮らしを紹介した本です。昔は、冬になると積雪3メートルに埋もれ、陸の孤島でした。今では、冬でも除雪がすすんでいますが、それでも急病人が出るとヘリコプターが出動します。
 『半日村』という絵本を子どもに読んでやったことがあります。秋山郷は、高い山で囲まれているために、日が当たる時間は平野の半分ほどしかありません。まさに半日村です。
 日頃、私たちは「○○をかてとして」と言うことがあります。あの「かて」とは糧飯(かてめし)のことです。米やアワのほか、ダイコンやカブをまぜて炊いたご飯のことです。昔の日本の主食でした。お米だけのご飯は、お祭りの日だけに食べる特別食で、御飯(ごはん)と丁寧な言葉で呼ばれ、ふだんの「めし」は糧飯のことです。
 雪の多い新潟や富山でチューリップ栽培が盛んな理由も説明されています。積雪が地表を寒さから守ってくれるので、球根を浅く植えることができるのです。春に雪が消えると、浅く植えられた球根は太陽の熱をより多く受けるので、大きく成長できる。こういうわけです。そうは言っても、暖かい九州で生まれ育った私にとっては、「半日村」とか、寒い冬に閉じこめられるなんて、とても耐えられそうにありません。

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