弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年1月 1日

コロンビア内戦

著者:伊高浩昭、出版社:論創社
 コロンビアって、本当に怖い国だと思いました。1985年11月、ゲリラが最高裁を占拠し、軍隊が反撃して最高裁長官以下115人が死亡しました。ゲリラ(M19)が麻薬マフィアと結託して起きた事件だということです。
 コロンビアでコカインが生産されはじめたのはごく最近、1969年だというのを知って驚きました。メデジン・カルテルのエスコバルとか、カリ・カルテルは日本人の私たちにも有名です。公安庁本部が爆破されたり、大統領や法務大臣などの要職に
ある人々が次々に暗殺されていきます。殺されない人々はマフィアに買収されているのです。
 エスコバルは自分の所有地に自費で別荘のような専用刑務所を建ててから自首し、そこに「収容」されました。外を陸軍が警備し、なかでエスコバルは麻薬取引を指示し、好きなように刑務所を出たり入ったりしていました。そして、アメリカ軍が出動する直前に、エスコバルはこの刑務所から脱走し、翌年、包囲されて殺害されまし
た。
 コロンビアでは、日本人も何人も誘拐されています。日本はエメラルドをコロンビアから輸入しているのです。日本人のエメラルド王・早田英志という人物が存在するというのも驚きでした。熊本出身だそうです。エメラルドの合法取引の3分の1を占める日本は最大のお得意なのです。1人で年商数十億円、15万カラットを扱うというのですから、これまた信じがたい話です。よくぞ、こんな怖い国にいるなと、正直いって思いました。

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