弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年7月 1日

人体市場

出版社:岩波書店
 人体ブローカーは儲かるビジネスだ。現代の状況は、19世紀の「死体泥棒」を思いおこさせる。この本を読むと、人間の身体(部品)が商品として売買されている、おぞましい実情を知ることができる。
 アメリカでは、人体をめぐるビジネスは1300の企業と170億ドルの資本を擁するバイオテクノロジー産業の一部として急成長を遂げている。
 現在、アメリカ国防省では、すべての軍所属者に遺伝子の検査を義務づけ、血液を採取している。軍の血液試料保有数は350万以上になっている。毎年生まれる新生児400万人の血液試料を用いた遺伝子の集団検診プログラムが試行されている。50州すべてにおいて、犯罪者には司法DNA鑑定用の血液提供が義務づけられている。
 本人も知らないうちに、人間の身体が丸ごと管理され、商品化されている。恐ろしい世の中だ。

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