弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年7月 1日

司法改革への警鐘

出版社:信山社
 アメリカには今、200万人をこえる囚人がいる。1991年には122万人、1999年に193万人だった。しかも、20年以上の終身刑が27万人、死刑囚が3335人いる。1997年から1999年1月までに500人が処刑され、1930年から1998年までの処刑者は4359人。
 囚人の87%は44歳以下。18歳から44歳までの人口の5%が刑罰法規の監視下にある。1999年に刑罰法規の監視下にある620万人のうち520万人が男性。
 アメリカでは重罪宣告を受けて選挙権を失った人が390万人いるが、そのうち140万人がアフリカ系アメリカ人の男性。
 カリフォルニア州には7000人の囚人を収容する刑務所があり、さらに2万人収容の巨大刑務所を建設しようとしている。刑務所だけを専門に建設する会社が100社以上あり、年間40〜60億ドルの売上高。
 民間刑務所に収容されている囚人が8万5000人いる。1987年には3000人だった。今後10年間で36万人になる見込み。全米にある3400の地方軽罪刑務所には10万人の人々が職員として働いており、この業界で使われる金額は年650億ドル。そこに目をつけた広告があり、専門の建設業者はアメリカでもっとも有望な投資対象となっている。今後ますます伸びる業界だと見られている。
 また、民間企業は囚人労働を利用している。新しい巨大刑務所は、その中に数千エーカーという工場群を建設中。
 この本は、アメリカにおける恐るべき刑務所ビジネスの内情を紹介しています。一読の価値があります。ぜひ手にとってお読みください。

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