弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年7月 1日

日米経営比較

出版社:大学教育出版
 著者は私より7歳年長で、早稲田大学を卒業して神戸製鋼所に入り、32年間のサラリーマン稼業(ニューヨークとメキシコ駐在員)から神戸大学教授に転身した人です。
 この本には、その長いキャリアをふまえた重みがありますので、少し紹介します。
 アメリカ企業の最大の弱点はヒューマン・ファクターにある。アメリカの会社は、たしかに人間に優しくないGEが年間10億ドルも従業員の生涯学習に投資し、雇用は保障しないが転職適応力は保障するという考えがうかがえる。
 日本の会社は600万社。1990年代の初めは毎年30万ほどの会社が設立されていたが、1998年には14万社に減った。1994年には廃業率が開業率を上まわり、1998年には会社が3万社も減ってしまった。アメリカは開業率が14%で、毎年80万社が生まれている。日本の会社は少産多死、アメリカは多産多死。
 会社はエリートだけでは成り立たない。普通の人のやる気をいかに高めるかが問題。
 日本の社長の当面の危険な存在は、有能と評された一部社員の暴走、総会屋に目を光らせる警察と検察、株主代表訴訟を組織する弁護士集団である。

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