弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2020年6月26日

先生も大変なんです

社会


(霧山昴)
著者 江澤 隆輔 、 出版 岩波書店

全国一斉休校。あれって、本当に必要だったんですか。いったい、どんな状況になれば、そうするのか、その基準は設定されていたのでしょうか。専門家の意見も十分きかないまま、首相官邸のなかの「情報」でアベ首相が独断したのではありませんか...。そして、「3蜜」を避けると言いながら、学校を再開したら40人学級に戻るって、何なんですか。せめて20人以下学級にしたらどうなんですか。共産党は教員を10万人増やしたら実現できるし、1兆円かければ、可能だと発表してましたよね。イージスアショアだって1兆円近かったし、F35なんて、1兆円ではすみませんよ。辺野古も同じです。そっちを止めて、日本の子どもたちの将来のために使ったほうが、どれだけ日本全体にとって良いことか、あまりにも明らかではありませんか...。
この本は、小・中学校での教員経験のある著者が、学校での教員の労働の実際を語り明かしています。読めば読むほど、アベ政権はお金(みんな私たちの納めた貴重な税金です)の使い方が間違っていることを知らされ、怒りが全身にみなぎってきます。
日本の教員は、いま、歴史的にも世界的にも、かつてないほど忙しい状況に置かれている。教員の置かれている苦しい状況は、教員志望を減らしていて、それが現場で教育の質の低下を招いている。
教員志望の低下がひどいのは、なにより「維新の会」が牛耳る大阪に顕著です。「維新の会」は、マスコミ受けすることばかり大げさに言いたてて、教員と子どもをなおざりにしています。学校に成績をつけて競争させるなんて、気狂いじみています。まったくの間違いです。子どもたちが楽しく伸び伸び勉強できるようにしましょうよ...。
一般的な教員は、朝7時半までに学校に出てくる。
昼休みは休憩時間どころか子どもたちと談笑しながら様子を観察する、貴重な時間。
トイレを巡回し、日誌チェックを怠ることはできない。
学校は、一般企業では考えられない「常識」によって支えられている。
そもそも教員には「残業代」という概念がない。教員にとって、「労働時間」なるものは、あってないようなものにすぎない。ごく最近までタイムカードのある公立学校はほどんどなかった。
教員が多忙やストレスから精神疾患にかかって病気休職に至る人が年に5千人をこえている。
2011年から小学校で英語教育が始まった。私は英語の早期授業には反対します。英語より国語力をしっかり身につけるほうが先決です。
学校の大変な実態を教えてくれる本です。コロナ禍にある休校のあとです。焦ることなく、子どもたちがゆとりをもって伸び伸び勉強できるようにすることが求められています。
(2020年3月刊。1800円+税)

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