弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年9月 2日

本の読み方

人間


(霧山昴)
著者 平野 啓一郎 、 出版  PHP文庫

スロー・リーディングの実践を提唱している文庫本です。
工夫次第で、読書は何倍にも楽しくなる。
オビの言葉に私もまったく同感です。といっても、私はスロー・リーディング派ではなく速読派の人間です。少なくともこの20年来、年間500冊以上の本を読んでいます。もちろん、これは単行本です。雑誌もいくつか読んでいますし、新聞は毎日5紙は読みます。FBでの情報入手にも努めていますので、スロー・リーディングというわけにはいきません。そんな私ですが、著者のすすめるスロー・リーディングの考え方には大いに心が惹かれます。
それほどまでに疲れる世の中だからこそ、私たちにはゆったりとした読書時間が必要なのである。
本当の読書は、単に表面的な知識で人を飾り立てるのではなく、内面から人を変え、思慮深さと賢明さをもたらし、人間性に深みを与えるものである。何より、ゆっくり時間をかけさえすれば、読書は楽しい。
速読家の知識は、単なる脂肪である。速読とは、「明日のための読書」である。これに対して、スロー・リーディングは、「5年後、10年後のための読書」である。
読書は、読み終わったときにこそ本当に始まる。
読書は、コミュニケーションのための準備である。
速読の一番の問題点は、助詞、助動詞をおろそかにしてしまうことだ。
分からない言葉が出てきたら、煩を厭わず(はんをいとわず)、立ち止まって必ず辞書を引くこと。
私は、これが出来ていません。反省させられます。
スロー・リーディングに最適なのは、黙読である。文章のリズムは、黙読のほうが正確に感じとることができる。気になる箇所に線を引いたり、印をつけたりする習慣をつけておくと、内容の理解が一段と深まる。
私が速読なのは、知りたいこと、情感に浸りたいことが次から次に出てくるので、それにつきあうには早く読むしかないからです。そして、一気に読んだあと、赤エンピツで印をつけたところを振り返って引用しながら書評を書いて自分のものとし、そして忘れてしまうのです。
(2019年7月刊。680円+税)

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