弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年4月 4日

82年生まれ、キム・ジヨン

韓国

(霧山昴)
著者 チョ・ナムジュ 、 出版  筑摩書房

読んでいて切なくなるストーリー展開です。これは、隣国の話というより、私は日本の話だなと思いながら読みすすめていきました。
たしかに、チョンセとかチュソクとか、日本と風習・習慣が違うところがあります。でも、「ママ虫」というあたり、また、東京医科大学入試での男子ゲタはかせ慣行のように女性があからさまに差別されているところは本質的に同じです。家庭内でも男性優先で、女性はあとまわしというのも、日本全国で最近まで(今もかな)ありましたよね・・・。
親の給料は、兄や弟の学費に使われ、女の子はあとまわし。一家を盛り立てるのは男の子であり、それが一家全員の成功であり、幸せだと考えられていた。娘たちは、喜んで男の兄弟を支えた。
日本も同じです。私自身も男3人は大学に行き、姉の一人は高卒で就職しました。
海苔巻きの具には、たくあんが必須で、これが抜けると大失策というのも日本人には分からない習慣です。
2014年、韓国の既婚女性5人のうち1人が、結婚・妊娠・出産・幼い子どもの育児と教育のために職場を離れた。
秋夕(チュソク)は、1年でもっとも重要な祭礼の日で、里帰りして先祖の墓参りするのが恒例。
3番目以降の子どもの性は男児が女児の2倍以上だった。要するに、女児だと判明すると妊娠中絶する親が多かったということ。
韓国では、基本的に高校受験がなく、地域の高校に割り当てられる。これは、知りませんでした・・・。
女性は、能力が劣っていたらダメ、優れているのもダメ、その中間だと中途半端だからダメだと言われる。
「味噌女」とは、家族や恋人に経済的に依存しながら、ブランド物を買ったり、高いスタバのコーヒーを飲んだりする。見栄っ張りの女性をおとしめて言う、2005年ころの流行語。
韓国は、もっとも女性が働きづらい国。男女の賃金格差がOECD加盟諸国のなかでもっとも大きい国だ。日本もあまり変わらないのではありませんか・・・。
韓国の戸主制度は2008年に廃止された。もはや韓国に戸籍はなく、人々は自分ひとりの登録簿だけで問題なく暮らしている。ふむふむ、なるほど、ですね。ただ、結婚のとき、同氏(姓)の人と結婚しないという点は、今はどうなっているのでしょうか。
韓国で100万部という驚異的なベストセラー小説となったものが日本でも出版されたのです。女性の不屈なたたかいはまだまだ当分続くことでしょう。私たち男性も、そのたたかいをしっかり支える必要があることを切々と痛感させてくれる本でした。ベストセラーの名に恥じません。
(2019年2月刊。1500円+税)

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