弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2019年3月 3日

タコの心身問題

生物

(霧山昴)
著者 ピーター・ゴドフリー・スミス 、 出版  みすず書房

カラスが人間を見分けて、いじわるされたと思ったら執拗に仕返しするという話は聞いたことがあります。本当のようです。ところが、この本によると、タコも人の顔を識別して、たとえ同じ制服を着ていても、特定の人物にだけ水を吹きかけたりするとのこと、不思議な能力をもっています。
タコは人間の顔を一人ずつ記憶しており、嫌いな人が近づくと水をかける。
水槽の中の電球をわざと壊して遊ぶ。ショートして停電が起きるのを楽しんでいる。
実験室でテストを受けさせてみると、タコは総じて良い成績をとる。
タコは新しい環境に適応する能力が高い。研究室に見慣れない訪問者が来ると、必ず水を吹きかける。
タコは逃げるときを選ぶ。注意深く、人間が見ていないときを選んで逃げる。
タコは、目の前のものが食べものかどうかを短時間で見きわめることができる。しかし、食べられないと分かったあとも、興味をもち続け、触ったり動かしたりすることがある。
タコは見慣れないものをただ弄ぶだけでなく、有効にいかすこともある。
タコは好奇心が強い。そして、順応性があり、冒険心がある。他方で、日和見主義なところもある。
タコには、硬い部分というのがほとんどない。タコは、5億個のニューロンがある。タコは方向感覚もすぐれている。
タコの心臓は一つではなく、三つだ。タコの血液は赤くなく、青緑色をしている。酸素を運ぶのは鉄でなく、銅をつかう。
タコの寿命は短く、わずか1年か2年だ。最大のタコであるミズダコでも、野生はせいぜい4年しか生きられない。
ええっー、まるでタコって人間じゃないですか・・・。どうして、こんなに似ているのでしょうかか、謎が深まりました。
(2019年1月刊。3000円+税)

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