弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年10月15日

世界一美しい人体の教科書

人間

(霧山昴)
著者 坂井 建雄 、 出版  ちくまプリマ―新書

私は1990年から1泊の人間ドッグを利用しています。平日に2日間、読書ざんまいの時間を過ごすのです。日頃は、なかなか読めない大部の本を持参し、必死で読みふけります。そして、なんとか6冊を完読します。その入院のおまけとして持ち帰るのが、私の内臓のカラー写真です。胃と腸が見事にうつっていて感動します。もちろん、日頃の仕事のストレスから来る異変も見つかります。
人間は、結局のところ管(くだ)から成り立っていると喝破した人がいますが、私も、人間って、本当にそういう存在なんだなと思います。
人間の身体は、37兆個の細胞でできている。唾液(だえき)腺を備えているのは哺乳類だけ。唾液腺をもたない動物は、そしゃくできない。唇(くちびる)は、哺乳類だけがもつ筋性のヒダで、乳を吸うためのもの。
筋肉で出来たチューブのような食道は、ふだんは前後につぶれて閉じているが、食物が通過するときには、蠕動(ぜんどう)運動によって、先へ先へと送っていく。
胃は、ビール瓶2本分に相当する1600ミリリットルの量を貯めておける。胃液にふくまれている塩酸は、強い酸性をもっているが、この働きによって食物を殺菌消毒し、腐敗や発酵を防いでいる。そして、胃粘膜から特殊な粘液も出ていて、この粘液が胃を保護している。
ピロリ菌は、私も除去しましたが、しばし苦しい思いをしました。
ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を出して自分の周りをアルカリ性のアンモニアに変えることで中和して生きのびるので、除去するしかない。そうなんですか・・・。
小腸の消化器は、効率よく栄養を吸収するために、他の臓器よりも細胞の入れ替わりが早い。腸上皮細胞は、栄養の吸収力を維持するため、24時間と、人体でもっとも寿命の短い細胞だ。腸壁からは、毎日200~300グラムの細胞が新陳代謝によって脱落していく。
24時間しか寿命のない細胞が、私たちの身体にあるのですね。まったく感謝、ひたすら感謝するしかありません。
肝臓は、体内で最大、最重量、最高温の臓器で、栄養素の分解と合成、貯蔵、有害物質の解毒、胆汁の生成などを行っている。50万個といわれる肝細胞によって構成される、いわば化学工場だ。そして、この肝臓は、4分の3を切除しても生命が維持でき、数ヶ月後には、肝細胞が増殖して元の大きさに戻るほど、再生能力の高い臓器である。
人間の身体は不思議そのものです。その身体が細胞レベルまでカラー写真で見せつけられると、いったい人間とは、いかなる存在なのか、それこそ考えさせられます。
新書版ですので、手軽に読めますが、その人体内部のカラー写真には、思わず息を吞むほど圧倒されます。
(2018年4月刊。1800円+税)

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