弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2018年7月12日

沖縄からの本土爆撃

日本史(戦前)

(霧山昴)
著者 林 博史 、 出版  吉川 弘文館

アメリカ軍は日本に対して、都市も村も島も、無差別攻撃を繰り返しました。
そのあげくにヒロシマ・ナガサキへの原爆投下があります。都市への無差別爆撃を初めておこなったのは日本軍による南京爆撃です。これに対して、アメリカは戦犯調査の対象とはしませんでした。日本軍との戦争で無差別攻撃をアメリカ軍もしていたことが問題になるとまずいと判断したのです。
1945年6月の時点で、日本本土への侵攻作戦(コロネット)をはじめた。このコロネット作戦とあわせて、日本の突然の降伏に備えてのこと。ブラックリスト作戦と呼び、二つの作戦計画が同時並行ですすむことになった。
アメリカ軍の大佐は、次のように言った。
「日本の全住民は適切な軍事目標である。日本には民間人はいない。我々は戦争しており、アメリカ人の命を救い、永続的な平和をもたらすべき、そしてもたらすように追求している戦争の苦しみを短縮するような総力戦という方法でおこなっている。我々は、可能な限り短い時間で、男であろうと女であろうと最大限可能な人数の敵を殺し出し破壊するつもりである」
アメリカ軍が無差別爆撃したことについて、戦前の日本政府は国際法に違反すると、はっきり抗議した。これについて、アメリカ政府は、民間人を爆撃することを繰り返し非難してきたので、無差別爆撃を国際法違反ではないと主張したら、これまでの見解と矛盾することになる。また、国際法違反だと認めると、日本に捕まった航空機の搭乗員たちが戦争犯罪人として扱われる危険性もある。つまり、アメリカ政府は答えようがなくなって答弁しなかった、出来なかった。
沖縄に航空基地をつくって日本本土を無差別爆撃していたことをアメリカ側の資料も発掘して明らかにした貴重な労作でした。
(2018年6月刊。1800円+税)

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