弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年8月11日

ウニがすごい、バッタもすごい

生物

(霧山昴)
著者 本川 達雄 、 出版  中公新書

生物の生きていく仕組みを解明すると、大自然の奥深さをまざまざと実感させられます。
サンゴは動物。ただし、体内に大量の植物を共生させていて、藻類との共生が、サンゴ礁をつくり出している。
サンゴは、食べて出てくる排泄物も、呼吸で出てくる二酸化炭素も褐虫藻がもらってくれるため、排出物の処理は気にしなくていい。褐虫藻が光合成する際に排出した酸素を、サンゴは細胞内で直接もらい受けることができている。
結局、サンゴは、褐虫藻と共生しているおかげで、食う心配がほぼなくなり、トイレの心配もなく、人口呼吸器を体内に備えたようなものだから、無理に息をする必要もない。
昆虫は、体の部分ごとに、必要に応じてクチクラの硬さを調節している。
昆虫の大きな特徴は飛べること。昆虫の羽は厚さ0.1ミリほど。羽を生やして飛べるおかげで、昆虫は餌を探すにも敵から逃れるにも、また、子孫を広くばらまくうえでも、きわめて有利になった。
同じ距離を行くのに必要なエネルギーは、飛行のほうが歩行より少なくてすむ。飛ぶことはエネルギーの節約になる。昆虫は、飛べたことから、被子植物との共進化可能にし、食物供給源を確保でき、かつ種類の増大につながった。
多くの飛ぶ昆虫は、幼虫時代は植物の葉を食べ、成虫は蜜や樹液を吸う。
ナメクジは、カタツムリが殻を失ったもの。ナメクジは、昼は地中という土で守られ、かつ湿り気のある環境に身をひそめ、夜になって湿り気の多い地表近くで活動するため、殻がなくても問題がないのだろう。
ナマコは、自分のまわりの砂を触手でごそっとつかんでは口に押し込む。つまり、砂を食べている。しかし、砂は鉱物なので、栄養にはならない。ナマコが食べて栄養にしているのは、砂粒の間に入っている有機物や砂粒の表面に生えているバイオフィルム。
ナマコは、じっと動かないため、摂取エネルギーの量が極端に少なくてもすむので、砂でも生活できる。ということは、ナマコは砂の上に住んでいるから、食べものの上にいることになる。砂はほかの動物たちは見向きもしないので、競争相手はおらず食べ放題。広大なお菓子の家をナマコが独占しているようなものだと言える。
ナマコは動くといっても砂を食べる場所を少し動くくらいなので筋肉は少なくてすむ。身体の大部分は身を守る皮ばかり。皮を食べても栄養にはならないので、ナマコを狙う捕食者は減っていき、ますますナマコは安全になる。食う心配がなく、食われる心配ない。これは天国のような生活だ・・・。
ナマコは、半分にすれば、二匹になる。
ヒトデは、自腕一本から残りの腕すべてを再生するのがいる。
ウニは、殻を割って内臓を取り除いても、殻の破片が数日間は、もそもそとはいまわっている。これって、不思議ですよね・・・。
さまざまな生物の生きる実態と仕組みを平易に解き明かす貴重な新書です。
(2017年4月刊。840円+税)

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