弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2017年7月 6日

寅さんの世間学入門

社会

(霧山昴)
著者 佐高 信  早野 透 、 出版  ベストブック

山田洋次監督の映画『男はつらいよ』シリーズが始まったのは、私が大学3年生のとき、1969年でした。マドンナ役は光本幸子です。私はその前にテレビで放映されていたというのは残念ながら見ていませんし、知りません。DVDにも全部は残っていないようですね・・・。
1969年以来、1997年の特別篇まで49作という超長シリーズです。なにしろ、お盆と正月に新作が封切られていたのですから、すごいことです。
私の子どもたちが一緒に映画をみてくれるようになってからは、正月に家族みんなでみていました。高笑いしながら、しみじみ泣けてくるという映画ですが、やはり観客みんなで笑うところに大きな感動がありました。東京・銀座の高級封切り館でみたときには、観客の笑いが、さすがに上品でしたから、もう、こんな上品な映画館では「寅さん」映画はみないと固く心に誓ったことを覚えています。
対談する二人は、私たち団塊世代より少しだけ年長です。一人はサユリスト(早野)、対する一人はリリー派(佐高)です。
サユリストの私ですが、寅さんの恋人役にふさわしいのは、なんといってもリリー(浅丘ルリ子)です。寅さんが肩の力を抜いて話せる女性だということが画面からよく伝わってきます。
リリーが登場するのは5作もあります。「ハイビスカスの花」は、筑豊の映画館でみましたが、ちょうど「オンボロ旅館」(失礼します)に泊まって弁護団合宿をしていましたので、みんなで腹をかかえて笑ってしまいました。
それにしても、渥美清が亡くなって20年にもなるなんて、信じられません。
この20年間に生まれた人は、寅さん封切り映画をみれなかったわけで、お気の毒としか言いようがありません。
最新の『家族はつらいよ』が、寅さん映画の雰囲気を伝えていますが、やはり面白みでは寅さんにはかないません。そこは、なんといっても渥美清という役者の奥深さです。
この本を読んで久しぶりに寅さん映画の感動に少しばかり浸ることができました。
(2017年3月刊。1400円+税)

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