弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年10月13日

セブン・イレブン、鈴木敏文帝国崩壊の深層

社会

(霧山昴)
著者  渡辺 仁 、 出版  金曜日

 鈴木敏文は1932年生まれだから84歳。イトーヨーカ堂の伊藤雅俊は92歳。この二人が争ったようですね。やはり老害なのでしょうか。本人は認めていませんが、鈴木敏文は二男の鈴木康弘を後継者にしようとして、社内で猛反発を受けたと書かれています。
「オムニチャネル」とは、スマホやネットで注文した商品を全国のセブン店で、24時間いつでも受けとれるという、次世代ネット通販の総称。
 ところが、これでは、本部は利益を得るけれど、加盟店はわずかな手数料収入だけになってしまう。商品のショーウィンドーであり、単なる配送拠点でしかなく、店舗オーナーは完全に無視される。これは反発必至ですよね。
 セブン・イレブンの3代目社長は、陸上自衛隊の師団長(陸将)をつとめた人間だった。レイテ沖海戦の「謎の反転」で有名な栗田健男・海軍中将の息子でもある。自衛隊上がりの栗田元社長が、社内の組織を自衛隊式に変えた。
 セブン・イレブンには、売上金の毎日送金を拒む「未送金オーナー」を力でねじ伏せる非合法組織がある。鈴木敏文会長直属の特殊部隊だ。
その写真も紹介されていますが、不気味です。レジから売上金を抜きとってしまうのです。
 セブン・イレブンの広告量が莫大なだけに、スポーツ紙や夕刊紙も、広告大スポンサーである「天下のセブン」にだけは完全なる沈黙。何の批判にもさらされていない。
セブン・イレブンの広告宣伝費は2525億円。しかし、現実には、オーナー夫妻の自殺や過労死は後を絶たない。セブンは、自殺遺族の口封じをしている。
セブンの利益率31%はあまりにも異常に高い。あのトヨタ自動車だって、利益率は6%でしかない。売上金の毎日送金システムが、この異常利益を支えている。
セブン本部には、全国1万5800店から、100億円もの現金が入ってくる。月3000億の大金をどのように運用しようと、セブン本部の勝手だという仕組みになっている。
コンビニ商法一般の恐ろしさでもありますが、ちょっとひどすぎますよね・・・。
現場で働く人は、本当に大変と思います。ますます、コンビニには近寄りたくないと思いました。
(2016年5月刊。1400円+税)

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