弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年9月 3日

レア、希少金属の知っておきたい16話

社会

(霧山昴)
著者  キース・ベロニーズ 、 出版  化学同人

 ドロドロに融けた地球の中心(コア、核)は、90%が鉄。地殻の4分の3は酸素(46.6%)とケイ素(27.7%)が占める。金属のアルミニウム(8.1%)と鉄(5.0%)がそれに次ぎ、以上の4元素で、9割を占める。そのあと、カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、と続く。そして、残るわずか1.4%に80種類もの元素がひしめいている。
 世界中で10億台レベルで販売されるスマホは、ほぼ全部でタンタルを使う。
 液晶テレビやモニターには、鮮やかな赤を出すユウロピウムをつかう。ほかの元素では、きれいな赤は出せない。
光ファイバーはエルビウム添加ガラスでつくる。永久磁石はネオジム。
レアといっても、地殻には、かなりの量が分散して存在する。でも、単離や加工がしにくいうえ、需要が多くて品薄になりやすい。だから「レア」なのだ。
 中国は、途方もない速さで、希土類金属の消費を続け、2016年には13万トンを消費するとみられている。この年13万トンというのは、2010年代初めに今世界が消費していた量と同じ。
 トヨタのプリウスには、1台あたり14キログラムもの希土類を使う。その大半はモーターと蓄電池の部材。希土類のうち5~7キログラムを占めるランタンは、ニッケル・水素化合物蓄電池の電極に欠かせない。
 パレスチナのアラファト議長は毒殺された可能性がある。ロシアのリトビネンコと同じポロニウムが使われていた。
 アフガニスタンには希土類の鉱脈が眠っている。3兆ドル(360兆円)の価値を有するというわけだ。また、アフガニスタンは、サファイヤやエメラルド、ルビー、ラピスラズリなど、宝石や準宝石の産地としても名高い。
 アメリカのF35戦闘機は比重が1.85と軽いベリリウムを使って飛行速度を上げて威力を高めている。有人戦闘機もドローンも、電気系統や爆弾誘導ミサイルを感知するレーダーなどに銅、ベリリウム鉄を使う。また、ベリリウム製の鉄は振動時にもひずみにくいので、戦車の監視用光学系にふさわしい。アメリカは、これまで、カザフスタンとドイツから1トンあたり6000万で高純度のベリリウムを買ってきた。
 レア・アースの初歩的知識を少しだけ身につけることができました。

(2016年3月刊。2000円+税)

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