弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年7月16日

平成28年・熊本地震

社会

(霧山昴)
著者  熊本日日新聞社 、 出版  熊日出版

 震度7の前震(4月14日)と本震(4月16日)は、本当に恐ろしいものでした。前震を本震と考え、あとは余震があるだけだろう・・・なんて「常識」を見事に覆した地震は、まさしく大災害です。
 そして、その日以来、今日まで震度1以上の地震が1800回をこえています。つい先日(6月29日)にも震度4の地震がありました。震度4でも怖いものですが、今では、妙になれたところがあり、それがかえって不気味です。
 この写真集は、その熊本地震による被害状況をくっきりうつし出しています。ドローンを使った空撮もありますので、被害のすさまじさが手にとるように伝わってきます。
 なんといっても、阿蘇大橋が完全に消失してしまった状況をとらえた写真には息を呑みます。私も何度も通ったことのある大橋がまったく姿を消してしまったのです。近くの山肌には巨大な土石流のあとを認めることができます。
 そして熊本城です。天守閣の屋根に瓦がほとんどありません。痛々しいまでの丸裸です。そして、櫓は今にも崩れ落ちてしまいそうです。市内中心部に堂々とそびえていたお城に威厳を感じられません。残念です。
 益城(ましき)町は、民家がボロボロです。これでは住めません。
 大自然の脅威のなか、住民がボランティアの力も借りながらお互いを支えあって生活している様子の写真で少し救われます。自衛隊の災害救助活動は必要だと思いますが、地震にかこつけて憲法を停止させる緊急事態条項が必要だなんて主張する与党の政治家には腹が立ちます。
 子どもたちの笑顔も紹介されています。本当は、みんな怖いんだよね。でも、みんなで支えあって乗り切るしかないんだよね。
熊本で被災した皆さんが、無理なく、がんばってほしいと願わずにはおれません。
(2016年6月刊。926円+税)

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