弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2016年2月 1日

銀河系惑星学の兆戦

宇宙

(霧山昴)
著者  松井 孝典 、 出版  NHK出版新書

 真夏は、夜寝る前にベランダから天体望遠鏡をのぞいて月の素顔を見るのを私は楽しみにしています。その月面にたくさんある「あばた」(クレーター)は、なんと天体衝突によって生まれたというのです。
物質科学的に超高速の天体衝突で生じるような、超高圧下でつくられたような鉱物が発見された。これらのクレーターの多くは、40億年以上も前にできたもの。
 それが無数にあるということは、40億年前の月では、無数に天体衝突が起きていたことになる。
 そして、月のマントルには、地球のマントルと同じくらいの水が含まれている。最古の結晶化年代は44.17億年である。
 地球に降ってくる隕石の多くは、宇宙空間に漂っていた塵やガスが凝縮してつくられた鉱物が単に集まっただけの集合体である。隕石の多くは、今から45億年以上前にできた。いちばん古い隕石は、1969年2月(例の東大・安田講堂攻防戦の翌月です)にメキシコに落下した。推定5万トン。ただし、大気中で爆発した。粒子が直径100キロメートルほどの天体になるまでに数百万年かかる。
 太陽系は、45億6600万円前に誕生したことが分っている。
 ブラックホールは「穴」ではなく、きわめて密度の高い天体である。周囲の物質をとり込みながら、無限の重力崩壊を続けているようなもの。
 銀河の中心には太陽の1億倍もの物質をもち、超巨大ブラックホールが存在している。
 冥王星が惑星ではないとされたのは、2006年に太陽系の惑星の定義が定められたから。惑星の定義は三つ。
 ① 太陽を回る軌道上にある天体
 ② 重力が物体の強度を上まわるだけの質量を持ち、静水圧平衡に近い形をしている天体。
 ③ その軌道の近くには、ほかの大きな天体が存在しない。
 冥王星は、この条件を満たしていないので、「準惑星」とされた。
 地球上にある広大な海を形成するほど大量の水はいったいどこから来たのか・・・?
 実は、それは彗星によって運ばれてきた可能性がある。
 えーえっ、ななんという不思議なことでしょう。想像できません・・・。
 最初の原始的微生物、あるいはウィルスも、宇宙から来た可能性が否定できない。地球が誕生する以前に、宇宙には生命の萌芽があったのではないか・・・。
 生命は宇宙で誕生し、それが彗星によって育まれ、運ばれ、彗星が地球に衝突することで地球に生命がもたらされた。
 むひゃあ、そんな、そんなことがあるのでしょうか・・・。ところが、著者は、この仮説を否定できないというのです。
 いやはや、宇宙にハテは果たしてあるのかと同様、無限の難問が宇宙には満ちみちています。

(2015年12月刊。780円+税)

 先週、私の町は断水騒ぎで大変でした。マイナス7度になって水道管が凍結し、破裂してしまったのです。水が使えないとトイレも風呂もダメです。コンビニやスーパーから水やパン、弁当がたちまち姿を消してしまいました。水のありがたさを改めて実感したと会う人ごとに話したものです。電気より、灯油やガスより、何より水が生活の基本なのですよね。本当に大変でした。
 それにしても、都市生活って、案外もろいのですよね。これで原発事故が起きたら、どうしようもありませんね・・・。

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