弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2015年11月18日

民主主義ってなんだ?

社会

(霧山昴)
著者  高橋源一郎、シールズ 、 出版  河出書房新社

  シールズの自己紹介から始まっています。
  シールズの奥田くんの父親は北九州の牧師で、ホームレス支援している。NHKの「プロフェッショナル」でも紹介された。その息子として、奥田くんは中学生のときから自宅を出て、沖縄の島で生活し、高校も島根県の小さな町に通っている。たしかに立派すぎる父親をもつと、子どもにとっては息苦しい、息が詰まってしまうのかもしれませんね。
  シールズの前の反原発の運動のときには、ICUと明治学院大学が多かった。
  実は、私の娘もICUの卒業生なのです。ICUって、ちょっと変わった個性をもつ人材を輩出していますよね。
  高橋源一郎は、作家であり、教授です。私より少しだけ年下になりますが、激しかった学生運動のなかで活動していたようです。
  私たちのころは、個人の言葉がなかった。これは、私もまったく同感です。あのころは「我々は・・・、たたかうぞ」と、リーダーが叫ぶのに唱和するだけでした。
  今は、「私は、○○大学の○○です」と名乗りをあげて話し出します。まったく違います。だから、卑劣な個人攻撃も受けやすくなるのです。「ネトウヨ」って本当に嫌な人種ですよね・・・。
  「昔の左翼は、権威を嫌いすぎた。国家権威を忌避しすぎた」 
  これって、どうなんでしょうか・・・・。だって、今の沖縄の状況をみたら翁長知事は県民の総意を受けて正当な職務権限の行使をしていますが、安倍や菅という連中は、権力と税金を私物化していますよね。こんな現実を直視したとき、権威とかが国家権威を嫌ったり、警戒したり、反発するのは当然ではないでしょうか・・・。
  シールズって、組織的なことを何もしていない、あくまでも自然発生的な運動体かと思っていました。ところが、その組織には、たくさんの班があるのですね・・・。デザイン班、デモ班、サロン(イベント)班、コンテンツ班、インターナショナル班、広報班、出版班、物販班、映像班、コールセンター、会計、あとは副司会官。
  私が大学生のころには、学内の集会やデモ行進となると、何千人も集まっていました。全都集会となると、軽く1万人をこしました。それが、その規模までにはいきませんが、今、ようやく近い人数にまで発展してきました。その中心にすわっているシールズの面々の話は、今どきの大学生の気分を知るうえで、大変参考になりました。

(2015年11月刊。1200円+税)

14日(土)午前中、いつものようにフランス語教室に顔を出しました。フランス人講師から何が起きたか知っているかと訊かれました。朝刊を読んでいましたから、地震があったことですかと答えました。鹿児島と佐賀で震度4の地震が早朝にあったのです。いやそんなことじゃないとフランス人講師はネットニュースをみせてくれました。そこで初めてパリで同時多発テロが起きたことを知りました。私もパリは何度も行ったことがあります。娘もしばらく留学していました。そのパリで、レストランや劇場、そして、サッカースタジアムが襲われたというのです。その恐ろしさに声も出ませんでした。これは戦争だと、フランス講師は繰り返していました。シリアからヨーロッパに戦争が拡大してしまったのですね、、、。
アベ首相が余計なことを再び言ってテロリスト集団を無用に刺激しないことを心から願っています。
テロリスト集団は絶対に許せません。でも、私は空爆にも反対です。そして無人機をつかってテロリストを暗殺しても、ほとんど何の解決にもならないでしょう。単に暴力の連鎖を生むだけです。
51ヶ所もの原発をかかえる日本です。テロリストが自爆攻撃したら、もう日本は破滅です。テロリスト絶滅と称して軍事行動をエスカレートさせることのないよう、心から願っています。まわり道のようではあっても、九条の精神で、本格的な民生支援しか国際社会が生きのびる道はないと確信しています。今度、この問題をフランス語で発表することになっています。

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