弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年5月 5日

ネット右翼の逆襲

社会


著者  古谷 経衡 、 出版  総和社

 私はネット社会に無縁に生きていますし、これからも無縁でありたいと願っています。ですから、「ネット右翼」なるものが、インターネット上で幅をきかしていても、なんということもありません。でも、「ネット人間」にとっては大変なことなんだと思います。
 この本は、「ネット右翼」のイメージが、必ずしもあたっていないことを「実証」しています。その限りでは、なーるほど、と思いました。
「ネット右翼」のイメージの特長は、①学歴における低学歴、②年収における低所得、③社会的地位・立場における底辺、④外見上の底辺。
 ところで、麻生太郎・元首相が、マンガをよく読み、アキハバラおたくだということは、よく知られています。結局、彼は、知性がない(乏しい)という一言に尽きるのではないでしょうか。そんな人に日本を動かしてほしくはありません。ひっこんでいてください。そう叫びたくなります。
 「ネトウヨ」(ネット右翼)は、年収200万円以下としたのは、小林よしのりだった。
 しかし、調査してみると、「ネトウヨ」の最終学歴は、大学、大学院卒業が63%をこえている。そして、年収も200万円以下というより400万円台にある。
このように「ネトウヨ」の実態は、一般のイメージとはかけ離れている。実際には、東京や大阪に住む、社会的にはミドルクラス以上、つまり典型的な中産階級で、年齢としては40歳より前、社会人としては成熟した、金銭的に余裕のある人々が多かった。
 「ネトウヨ」の怒りの矛先は、韓国であると同時に日本の既成大手メディアにも向けられている。
 冷戦時代において、日本人の韓国観は、保守層は一貫して融和的であり、左翼・リベラル側が一方的に嫌韓(辛辣)だった。
 なーるほど、たしかに、そうでしたね。だって、あのころ、韓国では、ずっと軍事独裁政権でしたし、ベトナム侵略戦争にも積極的に加担していましたからね・・・。
 「ネット右翼」は、日本人の悪いところを増幅してしまっているというのが、悲しい現実だと思います。早いうちに、そのことに気づいてくれることを私は願います。
(2013年6月刊。1500円+税)

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