弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2014年4月15日

生活保護で生きちゃおう

社会


著者  雨宮処凛・和久井みちる 、 出版  あけび書房

 楽しいマンガ付きの、生活保護を受けるための手引き書というか入門講座です。
生活保護を受けとるのは恥ではない。
 生活保護を受けている人を叩くのは、自分の首を絞めているようなもの。国民が、もっと自由に健康で文化的な最低限度の生活を過ごせるようにするのは、国の義務である。
 そんなことが、マンガをふくめて、とても分かりやすく解説されています。
生活保護の利用者は、現在、216万人いる(2013年8月現在)。
 その理由となった事情は、それこそさまざま。適応障がいのために仕事が長続きしない若者、ずっと精神疾患のために家族と別に暮らしている若者、アルコールなどの依存症のため、仕事が出来ない中年男性、身体障がい者なので、まともな仕事と収入がない40代の女性など・・・。
 そんな人たちが自分の体験を通して、生活保護を受けるためのテクニックや、生活の大変さなどを率直に語り合う座談会が紹介されています。
 市役所のケースワーカーから、「子どもはつくってくれるな」と言われたとのこと。この言葉は本人にショックを与えました。そうですよね。人間らしい生活をするなというのと同じコトバです。
 「生活保護をもらっている人は、好きなだけ病院に行けて、いいよね」
 これも間違いです。誰が好きで病院に行くものですか・・・。みな、仕方なく病院に通っているのです。
本当は生活保護を受けてもいい、受けるべきなのに、実際に生活保護を受けているのは、わずか2割でしかない。
 生活保護を受けている人を責める側の人々は、自分たちもこんなに生活が苦しいのに、高い税金を払っているのだ、その税金で保護を受けている人は食べているという感覚だ。
 しかし、世の中は助け合いですよね。生活に困っている人を放っておいていいのですか。航空母艦やら「海兵隊」創設につかう税金があったら、人間を育てるほうにお金をまわすべきですよね。
生活保護を受けにくくしているのは、いま流行のバッシングにある。
 自分たちの家族がバッシングの渦の中に入ってしまう恐怖心がそこにあった。
 本当は生活保護を受けるべき人が8割、実際に受けているのは2割。この現実を変えて、もっと多くの人が、気楽に気軽に生活保護を受けられるようにしたいものです。
 また、保護を受けるのは恥ずかしいことでも何でもありません。大きく叫びましょう。
(2013年10月刊。1200円+税)
 庭に植えているアスパラガスに大きく伸びていました。一度に7本も収穫できたのは初めてです。しかも、みんな店頭に並んでいるほどの太さでした。
 早速、春の味覚をかみしめました。

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