弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年8月12日

牛乳とタマゴの科学

人間

著者  酒井 仙吉 、 出版  講談社ブルーバックス新書

母牛が乳を与えるのは自分の子牛のみで、血のつながりのない子牛には決して与えない。馬が後ろ脚をうしろにけるのと違って牛は前にける。だから、自分の子牛以外、たとえ人でも乳房に触れるのは容易ではなく、むしろ危険。はじめに子牛に乳を飲ませ、少し早めに親から引き離し、そのあと搾乳する。再び親牛に近づかないよう、子牛は親牛の前足につないでおく。
 キリスト教の創始者のキリスト、イスラム教の祖マホメット、仏教の開祖ブッタは、例外なく牛乳と乳製品を礼賛している。もともと日本本土に牛はいなかった。縄文時代の末期に大陸から運ばれてきた。
 大陸で起きた争乱などによって移住者がでて、日本に馬や牛、ブタ、ニワトリをもたらした。近江(滋賀県)では、農耕の役目を終えると肥えさせ食べたようだ。干し肉、粕漬け、味噌漬けにして、12月から1月にかけて江戸に運ばれた。これが近江牛。
牛乳の完全制は子牛にとってであって、人にとってではない。牛乳は乳児にとって母乳の代わりにはならない。
 有用菌とされる乳酸菌であっても、胃に入れると胃酸によって99.9%は胃で消滅する。
 哺乳類は、ブドウ糖を細胞に無害な乳糖に変えることで子に大量の炭水化物を与えている。子牛が乳を飲むのは1日に2回、ウサギは、1日に1回でしかない。
 人は生まれてすぐ母親の初乳から特別な物質を受けとる。そのため、初乳を飲んだ新生児は感染症をふくめて病気になる割合が格段に低い。初乳には病気を予防するという重要な役割がある。母牛の病気抵抗性が初乳によって子牛に伝えられる。しかし、初乳は出荷禁止。それは、殺菌のために加熱すると、免疫グロブリンが固まるので、市販できないから。
 ニワトリは、ヒナから人手で育ててもなつかない。ただし、無視もしない。ニワトリの性質は珍しい。人を恐れない。腹が減っても催促せず、こびもしない。とにかく雄は気位が高く、闘争心が旺盛。鳴き声は独特で、姿は美しい。自分でエサを探すので、飼う手間はかからない。カゴに入れてもおとなしい。寿命は10年以上。
ニワトリのタマゴが人の食用になるのは江戸時代から。江戸では、ゆで玉子が売られていた。1個50文(200円相当)だった。このころは、そば1杯16文だった。安くはない。江戸で、だし巻きタマゴは高級料理だった。一人あたりの年間消費量をみると、日本は主要先進国のなかで際立って多い。
 卵は、洗わなければ、2ヶ月は保有して生食が可能。本当でしょうか・・・。あまり試したくはありませんよね。
いまのニワトリはタマゴ生産機械と化している。体重2キログラムのニワトリが1年間で280個ほど(17~20キログラム)のタマゴを産む。
 産卵間隔は25時間。鶏舎では、14時間点灯、10時間消灯がやられている。
なぜ、ニワトリは年間280個で十分ではないのか・・・。なーるほど、これってちょっとしたギモンですよね。
牛乳を飲むと、お腹がゴロゴロいうのは、乳糖不耐症と呼ばれるものがあるからです。そして、日本人は過去、牛乳を利用していませんでしたので、日本人の大半は乳糖不耐症である。
 タマゴを食べると、高血圧や心筋梗塞になると騒がれた。これは、タマゴにとって、とんでもない濡れ衣だった。
 毎日の牛乳とタマゴの秘密に迫った面白くて、ためになる本でした。
(2013年5月刊。900円+税)
 妹尾河童原作の映画『少年H』をみました。
 とてもリアルに戦争の怖さが再現されていました。次第に市民生活が息苦しくなっていく様子、政府にタテつく者が突然逮捕されて、まるで不向きの人が兵隊にとられることの不幸がよく描けています。そして、戦争によってすべてを失い、虚脱感に陥り、そこから抜け出すことの大変さもしっかり伝わってきました。
 いま、安倍首相の言うなりに世の中が動いていくと、こうなるよという具体的なイメージもつかむことのできる素晴らしい映画です。ぜひ、ご覧ください。

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