弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年8月11日

正義のセ(その1)

司法

著者  阿川 佐和子 、 出版  角川書店

豆腐屋の娘、25歳・独身が検察官になった・・・。
 あのアガワの小説です。しかも、独身女性検事が主人公とあっては、読まないわけにはいきません。
 私はじつは、アガワのエッセイをいくつも読んでいますが、小説は初めてでした。「ウメ子」とか、いろいろ賞をとった小説があることも初めて知りました。
アガワのお父さんの本はいつも驚嘆しながら読んでいましたが、司法界に挑戦するアガワの小説はどれほどのものなのか、まずはお手並み拝見、というくらいの軽い気持ちで読みはじめたのでした。ところが、意外や意外(実は、小説だから当然のことです・・・)、とてもすんなり感情移入して読みやすいのです。またたくまに、主人公の独身女性検事に、「そんなことをしてはいけないだろう」というツッコミをいれながら、読みふけっている自分を発見してしまったのでした・・・。
検察官ですから、コロシもありますし、取調べにおける「犯人」(被疑者)との微妙な駆け引きも求められます。
 ところが、デビュタン(初心者)は、ベテランにもがわれる(可愛がられる)のです。これはどこの世界でも同じですよね。
 取調べのとき、被疑者にからかわれ、憤然として怒鳴りちらし、泣き叫んでしまう主人公に、つい同情してしまいます。実際のところは知りませんが、ありそうな展開です。
 まだ1巻を読んだだけですが、次なる展開が待ち遠しい第一巻ではありました。
(2013年2月刊。1200円+税)

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